ECB、10年前の利上げがトラウマか-ゼロ金利解除を逸するとの声も

  • 2008年のリーマン・ショック直前に利上げ、3カ月後に巻き戻し
  • 欧州債務危機直前の11年にも利上げで判断誤る
Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg

世界的な金融危機に差し掛かろうとしていた2008年7月3日、欧州中央銀行(ECB)は利上げに踏み切った。それからちょうど10年たった現在、ECBは金融引き締めを待ち過ぎるリスクを冒していると一部は指摘する。

  10年前にECBが利上げを決めたのは、目標値の2倍余りに達していたインフレ率を抑制するためだった。だが経済が大恐慌以来の非常事態に陥り、わずか3カ月後には物価と経済成長が急速に落ち込む中で利下げにかじを切った。

  ECBはさらに、欧州債務危機直前の11年にも利上げを実施した。当時イタリア銀行(中銀)の総裁だったドラギ現ECB総裁は恐らくこの経験から、19年夏の終わりまで利上げの可能性を排除した。

  ドラギ総裁が6月にこのガイダンスを公表すると、賢明だとして市場は歓迎。19年半ばの利上げを見込んでいたエコノミストらは、予想を同年終盤へと後ずれさせた。だが景気循環が下降へと向かう中で、ECBがゼロ金利の世界から抜け出せなくなるという、より大きなリスクがあるとの声も聞かれる。

  ナティクシスのチーフエコノミスト、パトリック・アータス氏は「ECBの利上げは結局実現しないという現実的なリスクがある」と指摘し、「ECBは正しいというのが市場のコンセンサスだが、後手に回り、長期間ゼロ金利にとどまる可能性もある」と述べた。

  ECBの適切な利上げ時期を巡っては、専門家の間ですら意見は一致していない。サマーズ元米財務長官は6月にECBが主催した会合で、インフレをはっきりと認識するまで主要国中銀は待つべきだと主張。一方、国際決済銀行(BIS)は金融危機時に導入した緩和策からの脱却を遅らせるべきではないと繰り返し警告している。

原題:ECB Faces Ghost of Rate Hikes Past a Decade After 2008 Misstep(抜粋)

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