日銀短観:景況感2期連続悪化、自動車落ち込み-景気後退意識も

更新日時
  • 大企業・製造業がプラス21と前回調査から3ポイント悪化
  • 米国発の通商問題や資源価格上昇への懸念高まる
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

日本銀行が発表した企業短期経済観測調査(短観、6月調査)で、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は2期連続で悪化した。2期連続の悪化は2012年12月以来5年半ぶり。米国発の通商問題や資源価格上昇への懸念により、景気後退リスクが意識されている。
  
  景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス21(ブルームバーグ調査の予想はプラス22)と前回調査から3ポイント悪化、非製造業はプラス24と1ポイント改善した。先行きは製造業がプラス21で横ばい、非製造業はプラス21と悪化を見込む。

  トランプ米政権が輸入制限を検討する大企業・自動車がプラス15と7ポイント悪化し、先行きも2ポイント悪化を見込む。低金利環境に苦しむ銀行業のDIはプラス5と2ポイント悪化し、先行きもマイナス1と6ポイント悪化した。

  第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは電話取材で、大企業・製造業DIが2期連続で悪化したことは「非常にショック」だと述べ、貿易摩擦が長期化すれば「景気後退リスクは高まってくる」と指摘した。自動車の悪化は「トランプショック」と分析した。

  米国の鉄鋼輸入制限を受け、制裁対象の中国や欧州連合(EU)は米製品に高関税を課す報復措置を決定し、米企業にも影響が広がっている。ブルームバーグ・エコノミクスの試算では、米関税率が10%引き上げられ米国以外も同程度の対抗措置を講じた場合、世界のGDP(国内総生産)は20年までに0.5%押し下げられる見通し。

設備投資計画は改善

  短観では、東京五輪や省力化需要を受け、設備投資計画は改善した。大規模・全産業の18年度の計画額は前年比13.6%増と前回2.3%増から上方修正され、市場予想の9.3%増も上回った。

  岡三証券の愛宕伸康チーフエコノミストは電話取材で、非製造業が予想以上に強かったとした上で、「今年は設備投資がけん引しそうだ」と分析した。ただ為替の想定が円高方向に修正されており、強気な計画が本当に実現するか次回以降の調査で確認する必要があると指摘した。

  短観の結果を受け、日銀は7月の金融政策決定会合で「緩やかな拡大を続ける」としている日本経済の先行きについて改めて精査する。労働市場が逼迫(ひっぱく)しているにもかかわらず、物価が低迷している原因についても点検する。短観では、「過剰」から「不足」を引いた雇用人員判断DIは全規模・全産業でマイナス32と前回から2ポイント上昇したものの、人手不足が続く状況が示された。

  菅義偉官房長官は午前の会見で「企業の景況感には慎重さがみられるものの高い水準にあり、景気が緩やかに回復しているという認識には変わりがない」と説明。原材料価格や人手不足による人件費上昇、通商問題を注視する姿勢を見せた。

キーポイント

  • 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス21と前回調査から3ポイント悪化ーブルームバーグ調査の予想はプラス22
  • 非製造業はプラス24と1ポイント改善、日銀によると、改善は1年ぶり-予想はプラス23
  • 先行きは製造業がプラス21で横ばい、非製造業はプラス21と悪化を見込む
  • 2018年度の為替想定は1ドル=107円26銭と前回(109円66銭)から円高方向に設定
(エコノミストコメントを追加し、見出しと全文を差し替えました.)
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