武田薬、和風の新社屋で海外事業強化へ-本社機能は日本に維持

  • 広報担当の女性社員からの提案が発端-和のデザイン
  • 木を基調にした内装、絆や未来など漢字を模した飾り

武田薬品工業のクリストフ・ウェバー最高経営責任者(CEO)は2日の新社屋披露の会見で「私たちは日本の企業で、本社も日本に置き続ける。新社屋はその象徴」との考えを表明した。和のデザインで統一した「武田グローバル本社」(東京都中央区)を拠点に世界の製薬市場の開拓を目指す。

  天然素材を生かした新社屋は地下4階、地上24階建て。中に足を踏み入れるとヒノキの匂いに包まれる。医薬の祖神を祭る「薬祖神社」に隣接しており、第一三共アステラス製薬も近隣に本社を構えている。セブンーイレブンやユニクロのブランド戦略も手掛ける佐藤可士和氏がデザインした。ウェバー氏は、6月の新社屋でのインタビュー時には「日本文化に根差したモダンで象徴的なデザイン」と話していた。

新社屋のエントランスホール

Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  長年国内トップの座に君臨してきた武田薬は、激化する国際競争にさらされる中、生き残りをかけて海外に打って出る戦略に転換。2003年に就任した長谷川閑史前社長(現相談役)時代から外国人幹部の登用や海外企業買収を進め、5月には総額約460億ポンド(6兆8000億円)にのぼる製薬大手シャイアーの買収に乗り出した。

  世界的な展開を急ぐ姿勢には古くから働く社員の間から反発のも上がっており、ウェバー氏は難しいかじ取りを迫られている。シャイアー買収後には武田薬本社を税金の低いアイルランドに移すのではとの見方もあったが、ウェバー氏は創業時から培われた「タケダイズム」とともに国内を拠点にして海外でも事業を推進する方針を繰り返し訴えている。

  在日米国商工会議所ヘルスケア委員会のジョン・カールソン委員長は「ウェバー氏はしばしば武田薬は依然として日本企業だと話す一方で、同社経営陣が非常に国際色豊かな構成となっているために日本企業ではないと発言することもある」とし、武田薬という企業がジレンマを抱えていると指摘した。

  インタビューを行った役員用応接室の壁には「未来」の漢字を模した木の模型が貼り付けられており、「絆」をかたどった鉄製の飾りが照明を囲む。同氏は「力を合わせて未来を切り開こうという願いを込めた」と話した。和を基調にしたデザインは広報担当の女性社員からの提案が発端。「この社員が勇気を出して会いに来てくれなければ、旧社屋と同じようなデザインになっていただろう」と語った。

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