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邦チタ社長:サウジ合弁、20年度からの黒字化目指す-安い電力が武器

  • 立ち上げコストもあり19年度は赤字見込むが、20年度にはフル操業に
  • 米中貿易摩擦によるチタン需要への影響は注視している

東邦チタニウムの西山佳宏社長は、9月からの商業生産を予定しているサウジアラビアでのスポンジチタンの合弁事業について、2020年度からの黒字化を目指していることを明らかにした。生産コストを左右する電気代の安さを武器に、競争力の高い製品供給を目指す。

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若松工場で生産したスポンジチタン 

Source: Toho Titanium Co

  28日、神奈川県茅ケ崎市の本社でのインタビューで述べた。サウジの合弁事業は邦チタが35%、残りを現地メーカーが出資する。スポンジチタンは鉱石から作る中間製品で、最終的には航空機エンジンや発電プラントなどの耐久性を向上させるために使われる。製造過程で電気分解の工程を伴い大量の電力を使用するため、電気代が原料費に次いで大きなコストを占める。

  邦チタにとっては海外で初の生産拠点。国内では東日本大震災後の原子力発電所の稼働停止もあって電力代金の高止まりや円高による輸出競争力の低下など取り巻く環境が厳しいことが背景にある。石油依存からの脱却を図るために自国産業の発展を目指すサウジ政府の意向もあり、現地企業との合弁で総額450億円を投じることとなった。

  西山社長は、立ち上げコストの負担もあり19年度の損益は赤字になりそうだとした上で「20年度にフル操業になってからの黒字化を目指す」と述べた。「電気代は日本と比べて半分以下。コスト競争力はある」と説明した。

  生産能力は同社のスポンジチタンの主力拠点である若松工場(福岡県)と同じ年間1万5600トン。サウジの工場にも同じ生産設備を配置し、邦チタから約50人が現地に駐在して技術指導などにあたっている。販売先は顧客からの認定取得が厳しいとされる航空機向けなどのほか、邦チタの八幡工場(同)に出荷して、金属チタンの塊であるインゴット生産の原料としても使用する。

需要は好調

  08年秋の米リーマン・ショックを機に世界のチタン需要は大きく減少し、供給過剰の状態に陥った。工場の稼働率が大幅に落ち込み、邦チタの業績も15年3月期まで6期連続で最終赤字となった。茅ヶ崎工場のチタン生産能力を3割弱削減するなどした結果、「チタン事業の収益改善はできた」と話す。

東邦チタニウムの純損益の推移

出所:会社予想

18年度は会社予想

  世界のチタン需要の約半分は航空機向け。米ボーイングなどメーカー側の在庫調整は17年中におおむね終了したとみており、「需要は好調で堅調な引き合いが続いている」という。

  一方、懸念事項に挙げたのは米中間の貿易摩擦。知的財産権侵害を理由に米国が対中制裁関税を発動する方針を示したことを受けて、中国も航空機を含めた米国から輸入量の多い545品目を対象に25%の報復関税を課すと発表した。中国は世界2位の航空市場。ともに7月6日から発動されるが「チタン需要に影響が出ないか注視している」と述べた。 

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