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パウエル議長が新スタイル、経済モデルより「実体経済」を案内役に

  • 労働市場の過熱、どこまで許容できるか-経済の限界試す
  • 地区連銀調査は低失業率の恩恵裏付けも、一部にバブル懸念し慎重論

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は米経済の限界を試そうとしている。一般市民に大きな利点とリスクの両方をもたらすこの戦略について、ワシントンの理事会はじめ12の地区連銀にまたがる米国の中央銀行システム(連邦準備制度)内で若干の警戒と興奮が入り交じってきた。

  インフレを過熱させずに失業率がどこまで低下できるか。いわゆる自然失業率を例に挙げると、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)は今月これを4.5%と想定した。5月の失業率は3.8%だが、物価上昇圧力の兆候は表面化していない。政策当局者は向こう2年間の失業率を3.5%と想定し、労働市場が今以上に活発化するのを容認する意向だ。

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パウエルFRB議長

撮影: Andrew Harrer/Bloomberg

  労働市場のスラック(たるみ)は実際のところ、推定より大きいかもしれないとの見方を、パウエル議長は前任のジャネット・イエレン氏から引き継いでいる。経済学者ではないパウエル氏は概念的なベンチマークでは米経済の複雑さを十分に説明できないとして、FRB議長としての役割にあいまいだが重要な変化をもたらした。つまり、経済モデルと同じようにエビデンスとしての経済を信頼するというやり方だ。

  6月20日、ポルトガルのシントラでパウエル氏は「実際に起きている事柄、実体経済がわれわれに語りかけるものを案内役としよう」と発言。漸進的な利上げの論拠を繰り返しつつ、完全雇用の様相について「われわれが理解するものが、現実と実際に起きていることに基づくべきであると認めようではないか」と呼び掛けた。

  5月の統計では黒人の失業率が1972年以来の水準に低下するなど、活発な労働市場による恩恵はすでに表面化している。パウエル氏は今月13日、低失業率を「歓迎する理由は多々ある」と発言。その恩恵は恒久的となり得るとの見方さえ示唆した。

  アトランタ連銀の調査では、タイトな労働市場は労働力の定着性を高め、生産性向上につながるという分析も出ている。こうした熱狂の一方で、連邦準備制度の当局者の中には、リソース難における低金利の長期化はバブル醸成につながるとの慎重論もある。

  ダラス連銀のカプラン総裁は、「行き過ぎた状態や不均衡を引き起こさずに、失業率をもっと下げたいという気持ちは分かる」と述べつつ、自分自身はなお、景気を加速も減速もさせない政策金利である「中立金利に向けて少なくともゆっくりと動くべきだと信じている」と述べた。

原題:Powell Wants ‘the Real Economy’ to Guide Fed as Job Market Soars(抜粋)

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