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米金融当局はインフレ期待の低迷が頭痛の種か-物価目標到達でも

  • 5月のPCE価格指数、エコノミスト予想は前年同月比2.2%上昇
  • 当局者にはインフレ期待の下方移行が死ぬほどの恐怖-ソン氏
An eagle sculpture stands on the facade of the Marriner S. Eccles Federal Reserve building in Washington.

An eagle sculpture stands on the facade of the Marriner S. Eccles Federal Reserve building in Washington.

Photographer: Andrew Harrer/
An eagle sculpture stands on the facade of the Marriner S. Eccles Federal Reserve building in Washington.
Photographer: Andrew Harrer/

米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数が29日に発表される。エコノミスト予想では、5月は前年同月比2.2%上昇と、当局目標の2%を上回る伸びが見込まれる。だが、インフレ期待の低迷が先行き同指数の重しとなる可能性がある。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先週、ポルトガルで開かれた欧州中央銀行(ECB)のフォーラムで、インフレ期待について「この数年、じりじりと鈍化してきた。2%到達をまだ目にしていない」と語った。

  PCE価格指数は3、4両月が前年同月比2%上昇で、5月の数字がエコノミストの予想通りとなれば、3カ月ベースで2012年前半以来の強い数字となる。しかし、金融当局がインフレ目標で任務達成を宣言するのに程遠い理由の一部には、このようなインフレ期待の低迷がありそうだ。

  インフレ期待の低迷は、実際のインフレ率の伸び悩みという悪循環をもたらす重要な問題だ。インフレ率が低いままにとどまると消費者が考えれば、モノやサービスの高い買い物は手控え、企業は賃上げを回避するとともに売り上げの落ち込みを恐れて値上げしないようにするためだ。

  一方、インフレ率が当局目標を上回り、低水準にある失業率が一段と低下しても、連邦公開市場委員会(FOMC)が漸進的な利上げの戦略を維持するのを可能にしているのは、何年にもわたって目標未達が続いたインフレの伸び悩みだと、FRBウオッチャーは指摘する。

Breaching Target?

  元FRB当局者で、現在はドイツ銀行のチーフエコノミスト、ピーター・フーパー氏(ニューヨーク在勤)は、インフレ期待の鈍化によって「労働市場の逼迫(ひっぱく)に対処するための利上げについて、慎重に進める余裕が当局に生じ、積極的になる必要がない」と指摘した。

  フーパー氏は、金融当局が用いているような標準的な経済モデルの場合、将来のインフレ率の決定要因として最も重要なのはインフレ期待だと説明。長期的には、雇用情勢と賃金との関係を表すフィリップス曲線など、他の要因を圧倒するという。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチの米国担当シニアエコノミスト、ジョゼフ・ソン氏(ニューヨーク在勤)は、「当局者はインフレ期待が安定を失って下方に移行するのを死ぬほど恐れている」とし、目標を若干上回る物価上昇を容認することで「もっと安心できる水準で期待を再び安定させたいと望んでいる」との分析を示した。

No Traction Yet

原題:Fed Hits Inflation Goal Only to Find Expectations Spoiling Party(抜粋)

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