中国指導部の対米貿易方針、国内で疑問視-景気懸念下で異例の動き

  • 貿易依存型の中国経済が米政権による攻勢に耐えられるのか-学識者
  • 米国の姿勢について中国は「判断を大きく誤った」-財政省当局者
Photographer: Qilai Shen
Photographer: Qilai Shen

トランプ米政権が講じる関税措置に、中国共産党指導部が同程度で対抗する方針を示したことで米中間の貿易摩擦が激しくなる中、中国国内では米国と争う準備が整っているのかと公然と疑問視する声が出ている。党指導部に対してこのように疑問を直接呈す動きが出るのは異例だ。

  著名な学識者らは、貿易依存型の中国経済がトランプ政権による持続的な攻勢に耐えられるのかと問い始めた。中国経済は足取りが鈍りつつあり、既に本土株も軟調だ。こうした見方は言葉を慎重に選んだ論文で示されており、中国国内の厳しい検閲下にあるインターネットで回覧されている。また、ブルームバーグ・ニュースがこの数日で取材した匿名の中国省庁当局者や外交官によると、中央省庁内でも同様の見解が出てきた。

  一連の論文では、共産党が米国の反中感情の根深さを過小評価するとともに、唯一の超大国である米国と早まった争いに突入する恐れがあるとの懸念が示された。反対意見を表明すれば厳しい批判や懲役刑につながり得る中国で、このような見解が公になっており、受け入れ可能な国民的議論の範囲が広がる形となっている。また、習近平国家主席が絶大な権力を持ち、中国が世界で自国の主張をより強く訴えるようになっている中ではなおさら大胆な動きだ。

  北京に拠点を置く安信証券の高善文チーフエコノミストはソーシャルメディアに投稿した論説で、「中国の当局者らは迫り来る貿易摩擦、あるいは貿易戦争に心理面で準備ができていなかったように見える」と指摘。「中国に反対する見方は米国民、ならびに米与党内でコンセンサスになりつつある」と記した。

大きな誤算

  高氏の論説はワシントン取材後の5月10日にソーシャルメディア微信(ウィーチャット)のアカウントを通じてまず公表され、複数のプラットフォームで数百万件のヒットを集めた。同氏からはコメントが得られなかった。

  中国の主要当局者も高氏らの論文を承知している。同氏の論説は先週、対米貿易問題の最前線にいる中国商務省の官僚間で回覧されたと当局者の1人は話す。議論が非公開だとして匿名を条件に語った。

  ブルームバーグ・ニュースが先週取材した他の当局者も、指導部の戦略について懐疑的な見方を示していた。ある財政省の当局者は、中国との長期的な対立もいとわない米国の姿勢について中国は「判断を大きく誤った」と漏らした。

  中国財政省と商務省に論文で表明された見解に関してファクスで質問したが、いずれからも返答はなかった。

  上海財経大学のユ・チ教授(経済学)はシンガポールの新聞、聯合早報に掲載された最近の論説で、自国の主張を強める外交政策の判断を疑問視した。教授に電話で接触し、このコメントを確認した。
 
  同教授は論説で、「中国は『豊かになる』という目的を果たしたのか。中国は鄧小平が描いた社会主義の初期段階を終えたのか。米国や他の西側諸国と直接競い始めることができるのか。中国は全般的な戦略的方向性を見直すべきだ」と記した。

原題:As Trade War Looms, China Wonders Whether It’s Up for the Fight(抜粋)

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