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元歯科医が創業した新興企業、韓国版ベンモで国内決済システムに風穴

  • イ・スンゴン氏はサムスン系病院を辞め、ビバ・リパブリカ創業
  • 最近の資金調達ラウンドで4000万ドル調達、ペイパルなども出資

イ・スンゴン氏がモバイルアプリを手掛けるスタートアップ企業を創設するためにサムスン・グループの系列病院に勤務する歯科医という安定した仕事を辞めた際、両親からは正気を疑われた。

  それから7年後、8つのアプリ失敗作を経て、ビバ・リパブリカ創業者のイ氏は決済サービス「トス」を大ヒットさせた。トスの登録ユーザー数は800万人、月間取引高は14億ドル(約1540億円)に上る。同社は18日、シンガポール政府投資公社(GIC)と紅杉中国(セコイア・チャイナ)から計4000万ドルの資金を調達し、累計調達額が1億1600万ドルに達したと発表した。

Toss Co-founder and CEO Lee Seung-gun Interview

イ・スンゴン氏

写真家:Jean Chung / Bloomberg

  米ペイパル・ホールディングスのモバイル決済アプリ「ベンモ」に似たトスは、ユーザー間で1日当たり最大200万ウォン(約20万円)の送金が可能で、送金に要する時間を数秒単位に短縮。国内銀行に支配され、セキュリティープロトコルで動きの取れない銀行システムの改善に寄与した。サムスンやLGなど家族経営の「チェボル(財閥)」が経済を支配する韓国で、こうしたアプリの成功はまれなことだ。「韓国では失敗すると許されないケースが極めて多いため、人々は失敗を恐れる」と36歳のイ氏は説明してくれた。

  イ氏にとって、道は平たんではなかった。歯科医時代に蓄えた1億5000万ウォンの資金はビバ・リパブリカに消え、アプリの失敗が相次いだ。預金が2万ウォンにまで減り、賃金が未払いでも仕事を続けてもらうため従業員の配偶者に懇願せざるを得なくなったこともある。 

Toss Co-founder and CEO Lee Seung-gun Interview

スタッフと会議中のイ氏

写真家:Jean Chung / Bloomberg

  軌道に乗ったのは2015年、韓国の金融当局が個人間の送金について合法との判断を示したのがきっかけだった。その後、イ氏は国民銀行やサムスンカードなどの大手金融機関と提携。ペイパルなどから出資を受けた。同社の成功を見て、韓国のポータルサイト運営会社ネイバーやメッセージアプリのカカオも決済事業に乗り出している。

  韓国銀行(中央銀行)のデータによると、個人間のオンライン決済市場は昨年、前年比で417%拡大した。昨年の1日当たり平均取引額は350億ウォンで、トスによると、うち70%程度を同社が占めていたという。同社はクレジットスコア(信用度)管理といった他の金融サービスに事業を拡大している。

原題:Dentist Quits Samsung to Disrupt South Korean Payments System(抜粋)

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