助太刀します!人手不足の建設業界、需給ミスマッチをアプリが解消

  • 東京五輪に向け求人高水準に、「職人の外注」が課題-工事会社
  • 「スキルとニーズ」をマッチ、即日現金受け取れると利用者にも好評

Photographer: Luke Sharrett/ Bloomberg

商業施設やホテルの内装工事などを手掛けるラックランド工事本部の小林要介氏(39)は、今年に入り何度もスマホのマッチングアプリ「助太刀」に助けられた。建設業界に特化したこのアプリを通じ、専門技術を持つ25人の職人とやり取りし、そのうち3人を現場に投入した。

  2020年の東京五輪・パラリンピックを控え建設ラッシュが続く中、小林氏は「ホテルや飲食店を充実させる動きの流れで内装も活況」と歓迎。しかし、「外の職人さんの力を借りないと現場が回らない」と明かす。今後も助太刀経由で職人らとの接点を増やし、長期で働ける人材や施工管理者などを確保していく考えだ。

建設業界の求人は高まる一方

建設・採掘業の有効求人倍率(パートタイムを含む常用)

出典:厚生労働省

  厚生労働省によると建設・採掘業の有効求人倍率は4月時点で4.27倍と2012年同月の1.62倍から大きく上昇した。現在でも大手ゼネコンを頂点とする重層下請け構造が残り、川下の職人に横断的な求人情報が共有されることはない建設業界で、助太刀は繁忙期の需給ミスマッチや人手不足の解消に一役買っている。

  東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは助太刀の取り組みを「スキルとニーズがマッチングする可能性が高まり、その分、労働市場の無駄がなくなる。労働シェアリングのようだ」と評価。同様のサービスが介護や医療、福祉業界でも広まれば、有効求人倍率の低下にもつながる可能性があるという。

3年後の登録者120万人目標

  サービス開始は昨年11月29日。アプリと同名のITベンチャー助太刀(東京・渋谷)の創業者、我妻陽一社長(40)は、15年間にわたる現場監督や電気工事会社経営の経験も生かし、「無駄をそぎ落とし極限までシンプルに」と基本的に職種と居住地を選ぶだけのアプリを考案した。

助太刀の広告

Source: Sukedachi Inc.

  登録者数は1万人を超えたが、新規株式公開(IPO)を目指す21年には国内の職人や現場監督の10人に3人がユーザーとなる想定で120万人獲得を狙う。4月には伊藤忠テクノロジーベンチャーズやニッポン放送などから計5億3000万円を調達し、アプリ開発や代金即日払いサービスの原資に充てた。

  埼玉県で住宅リフォーム工事などを手掛ける関優樹氏(34)は4月、助太刀経由で水道工事を請け負った。仕事が終わった当日、セブン銀行のATMで請負代金を受け取れたことに感激。現場によって「仕事から代金の支払いまで2カ月かかることもあり、このシステムは素晴らしい」と話す。

3Kは「かっこいい、稼げる、健全」に

  助太刀の登録者で福島市の工務店で役員を務める大和田諒氏(30)は、「助太刀を活用して安定的な収入が見込めるようになれば、建設業に興味を持ってくれる若者が出てくるかもしれない」と若い世代の就業増加に期待する。

  我妻氏は助太刀を通して人手不足の解消に加え、業界のイメージを変えることにも意欲を示す。業界について回る「きつい、汚い、危険」という3Kのイメージを「かっこいい、稼げる、健全」に変えるのが目標だ。「アプリを活用することで新しいワークスタイルも提供したい」と話す。

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