Photographer: Andrew Harrer/

金融緩和、米欧でもまだ続く-利上げや緩和の段階的解除決定でも

  • 米FF金利はまだ中立金利を下回る、ECB利上げは1年先
  • テーパリングは出口ではない-リチャード・バーウェル氏
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金融緩和の終了を宣言するにはまだ早い。

  世界の主要な中央銀行の幾つかは先週、金融危機から約10年を経て、金融市場を円滑に機能させリセッション(景気後退)を避けるために講じた緊急の刺激策について、解除に向けて重要なステップを刻んだ。しかし、その大半は経済下支えを打ち切る用意のないことが明らかだ。

パウエルFRB議長

写真家:Andrew Harrer / Bloomberg

  米連邦公開市場委員会(FOMC)が今年2回目となる利上げを決めた後、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする金融当局者は、当局の政策スタンスは緩和的だと指摘した。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、12月までに債券購入を終える決定によっても、それ以降も相当な金融刺激が維持され、2019年夏まで利上げはないだろうとの見方を示した。

  こうしたコミットメントは、金融緩和の局面が続くことを意味する。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の推計では、連邦準備制度やECBなど世界で最も重要な中銀のバランスシートは08年9月の米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻当時よりも合計で11兆8000億ドル(約1303兆円)多く、ピーク時の12兆3000億ドルをわずかに下回っただけだ。JPモルガン・チェースのエコノミストは、先進国の金利の指標が1%を割り込んでおり、今から1年後に1.5%を上回ることはないとみている。

  AMPキャピタル・インベスターズの投資戦略責任者、シェーン・オリバー氏(シドニー在勤)は「金融緩和のピークは付けたが、それは金融引き締めへの直行を意味するわけではない」と語った。

  パウエルFRB議長は13日の記者会見で、インフレ率が2%の当局目標を上回り失業率が1960年代後半以来の低水準になっても、金融当局として徐々に政策を正常化する「辛抱強い」プランを堅持する方針を表明。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは1.75-2%と、景気の加速にも減速にもつながらない中立金利と当局者が推計する2.9%を引き続き下回っている。

  元FRB当局者で現在はコーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は、「記者会見からはパウエル氏が特に利上げペースを加速させたがっているとの印象は受けなかった」と話した。

  ECBは政策金利を巡るハト派的なガイダンスで投資家の不意を突いたほか、満期を迎える資産の償還金について再投資を続ける方針を示し、バランスシート縮小で米金融当局に追随する準備には程遠いことを明らかにした。

  BNPパリバ・アセット・マネジメントのエコノミスト、リチャード・バーウェル氏(ロンドン在勤)は、債券購入を段階的に縮小・終了させる「テーパリングが出口でないのは確かだ。ECBの利上げはまだ1年先で、世界の成長見通しへの信頼が既に後退する中で、出口の扉に決してたどり着けないリスクも十分ある」との見方を示した。

  多くの中銀にとってのリスクは、今後、景気悪化に見舞われた場合でもそれぞれの政策金利が依然としてゼロかその近くで、量的緩和の再開以外に選択肢に乏しいことだ。ドラギ総裁は資産購入について、将来も「通常」の金融政策手段であり続けるだろうとコメントした。

Money on the Books

The top three central banks’ balance sheets now equal almost a third of their economies’ output

Source: Sbloomberg Economics

原題:Easy Money Era Endures Even as Central Banks Unwind Stimulus(抜粋)

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