ドル・円が上昇、日米金融政策の違い意識で111円台接近-ユーロ軟調

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  • 一時110円90銭と5月23日以来高値、日銀が物価の見方を下方修正
  • 朝方は米中貿易戦争への懸念で110円46銭まで弱含む場面も

東京外国為替市場ではドル・円相場が上昇。日本銀行が物価の現状認識を弱めたことを受け、金融緩和の正常化に向かう米欧との金融政策の違いが改めて意識され、ドル買い・円売り圧力が掛かった。

  15日午後3時24分現在のドル・円は前日比0.2%高の1ドル=110円86銭。トランプ大統領が中国製品500億ドル前後への関税を承認したとの報道や中国による報復関税の報道を受けて、朝方は110円46銭まで弱含んだが、正午前に日銀金融政策決定会合の結果が発表されると円売り優勢となり、午後には110円90銭と5月23日以来の水準まで値を切り上げた。

  みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、日銀の金融政策について「かなり正常化が遠のいているイメージ」だとし、「中長期的にはファンダメンタルズ、金利差を通じて円安要因になりやすい」と指摘。一方、最大のリスクは通商問題が貿易戦争に発展することだとし、「それを考えるとドル・円がどこまで行けるかは怪しい」と話した。

  日銀は15日の金融政策決定会合後に公表した声明文で、足元の物価上昇率は「0%台後半となっている」として、4月の「1%程度」から変更した。金融政策は市場の予想通り、8対1の賛成多数で現状維持を決めた。黒田東彦総裁は午後3時半から記者会見を行う予定で、物価低迷や長期化する低金利の副作用についてどのような見解を示すかが注目されている。
  
日銀会合についての記事はこちらをご覧ください。

  米政府は制裁関税の対象となる中国からの輸入品の最新リストを15日に公表する予定。ホワイトハウスはリスト公表後「近いうちに」発動するとしているが、具体的な期日は設定されていない。

  FOMCは今週、今年2回目となる利上げを決定し、今年の利上げ回数の中心予想を従来の3回から4回に引き上げた。一方、ECBは14日の政策委員会で、債券購入の年内終了を決めるとともに、政策金利を少なくとも2019年夏の終わりまで現行水準に据え置くと表明した。

  14日の海外市場では、ECBのハト派的な金利ガイダンスに反応する形でユーロが急反落。対ユーロを中心にドル高が進む中で、ドル・円も110円割れの水準から110円69銭まで反発した。

  三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、利上げペースの加速を示唆したFOMCとECBとのコントラストが「殊更ドル高を際立たせているのが今の動き」で、為替市場全体としてもしばらくはドル高のトーンが出やすいと予想。もっとも、ドル・円については「保護主義の話が出たときの円買いが勝る」ことで上値が抑えられやすいと語った。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.1%安の1ユーロ=1.1561ドル。午後には一時1.1547ドルと5月30日以来の安値を更新した。

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