米連邦準備制度のバランスシート縮小、予想より早期に終了も

  • 実効FF金利の上昇はキャッシュ不足が進んでいる可能性を示唆
  • 当局の監督担当者が銀行にどのようなガイダンス与えるかが鍵に

米連邦準備制度は、量的緩和(QE)に伴って大幅に膨らんだバランスシートの段階的な縮小を進めている。だが、その終了時期はこれまで想定されていたほど先のことではないかもしれない。

  主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の実効レートが予想外に上昇しているのを受け、金融システムにどの程度の流動性を維持すべきかという重要課題について、金融当局者は議論を急ぐこととなった。その帰結は、バランスシートの最終的な規模を左右し、金融政策に重要な意味を持つことになる。

  影響の1つは13日に顕在化した。連邦公開市場委員会(FOMC)はFF金利の誘導目標レンジを0.25ポイント引き上げて1.75-2%とする決定を下したが、連邦準備制度理事会(FRB)は民間銀行の超過準備への付利(IOER)を1.95%とし、引き上げ幅を0.2ポイントにとどめるよう決めた。実効FF金利が誘導目標レンジの上限を上回るのを防ぐことが狙いだ。当局はこれまで、IOERを同レンジ上限として設定してきた。

  連邦準備制度のバランスシート縮小は、長期金利に上昇圧力をもたらすことで、実質的に金融引き締めの一形態として作用する。昨年10月に縮小に着手して以降、金融当局の債券ポートフォリオは4兆3000億ドル(約473兆円)と1500億ドル前後減ったが、どの程度縮小させる可能性があるかは曖昧にしたままだ。

  このように、当局が明確な道筋を示そうとしない理由の1つとしては、民間銀行が金融危機後に導入された規制上の要件を満たす必要上、連邦準備制度にどの程度の準備預金を保有したい意向なのか、当局として把握していない点が挙げられる。

  当局者は、バランスシート縮小によって金融システムからキャッシュを引き揚げるのに伴い、誘導目標レンジ内で実効FF金利が上昇すれば、流動性が少なめになっていることを示唆する重要なサインになると述べてきた。

  そして今、実際に実効FF金利が上昇している中で、一部に懐疑的な見方が台頭してきた。上昇は主に別の要因によるのではないかというもので、具体的には米財務省短期証券(TB)の発行急増が、翌日物も含む金利上昇をもたらしたと受け止められている。

  パウエルFRB議長は13日のFOMC後の記者会見で、実効FF金利上昇に関する質問に対し、「われわれはこの問題を注視しており、正確には分からないというのが実態だ。実際、誰も分かっていない」と語った。その上で、「われわれは状況を見守って学習しなければならない。率直に言って、現時点で解明する必要はない」とコメントした。

  しかし、キャッシュバランスが次第に少なくなっていることが少なくとも実効FF金利上昇の一因ではないかとの見方も広がりつつあり、この結果、一部のアナリストは、連邦準備制度のバランスシート縮小の終了時期の見通しを前倒ししている。

今年終了のリスクも

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)の米短期金利戦略責任者、マーク・カバナ氏は5日公表のリポートで、米金融当局者が2019年後半か20年初めに金融システムからの流動性引き揚げをストップし、銀行のバランスシートには1兆ドル規模のキャッシュが残される可能性があるとの分析を示した。今年これまでのところ、連邦準備制度には平均2兆1000億ドル前後が準備預金として保有されている。

  07-15年にニューヨーク連銀のマーケットグループで勤務した経歴を持つカバナ氏は、バランスシート縮小が今年で終了するリスクさえも想定されるとした。

  銀行業界団体クリアリング・ハウス・アソシエーションのチーフエコノミスト、ウィリアム・ネルソン氏は、新規則順守のため銀行が必要とするキャッシュが過小に見積もられてきた可能性には、連邦準備制度の監督担当者が銀行側にひそかに一層多くのキャッシュを保有する必要性を伝えてきた背景もあると話す。

  流動性カバレッジ比率(LCR)として知られる要件では、預金流出の事態に対処するのに十分な流動性を銀行に確保させるため、連邦準備制度の預金準備か米国債の形で資産の一定比率を保有しなければならない。

  理論上は、連邦準備制度の債券ポートフォリオ縮小によっても、銀行がこの要件を満たすのに利用可能な米国債と預金準備の総額には影響が生じない。だが仮に、連邦準備制度の監督担当者が銀行に対して預金準備の保有を優先するよう伝えているとすれば、この論理はもはや通じないことになる。

  クリアリング・ハウス・アソシエーションのネルソン氏が、銀行監督担当のクオールズFRB副議長に、これが当局の新たな政策かどうか尋ねたところ、5月4日にスタンフォード大学の会議に参加していたクオールズ副議長は、その種のメッセージが銀行に伝えられていることを承知しており、「再考中」であると話したとされる。

  UBSセキュリティーズの米国担当チーフエコノミスト、セス・カーペンター氏(ニューヨーク在勤)は、金融当局者がより大きめなバランスシートを選択し、銀行に対して米国債よりも預金準備の保有を優先するよう指示し続けた場合、長期金利の下振れを意味する可能性があると話した。

原題:Fed’s Big Balance-Sheet Unwind Could Be Coming to an Early End(抜粋)

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