日銀政策会合注目点:黒田総裁が物価低迷の背景や副作用に言及か

更新日時
  • エコノミスト全員が金融政策の現状維持を予想-ブルームバーグ調査
  • 物価は予想より停滞、変更の可能性低下と三井住友アセットの吉川氏

黒田総裁

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行は15日、金融政策決定会合を開き、当面の運営方針を発表する。金融市場調節方針は現状維持とみられており、物価低迷や長期化する低金利の副作用について、黒田東彦総裁が会見でどのような見解を示すか注目される。

  ブルームバーグがエコノミスト45人を対象に4-6日に実施した調査では、全員が金融政策の現状維持を予想した。年内の引き締め予想は5人(11%)と4月の前回調査(15%)から減少。来年3月までも12人(27%)にとどまった。緩和予想は4人(9%)にとどまり、来年4月以降とみている。

  4月の生鮮食品を除く全国の消費者物価指数(コアCPI)は前年比0.7%上昇、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは0.4%上昇と低迷しており、年度初めの価格改定期の値上げは不発に終わった。2%物価目標を目指し量的・質的緩和を導入してから5年が経過したが、目標達成への道筋は見えておらず、大量の国債購入で金利を押さえ込む政策の副作用への懸念の声もある。
  
  三井住友アセットマネジメントの吉川雅幸チーフマクロストラテジストは調査で、物価は予想よりやや停滞している印象があると分析。消費税が予定通り実施されることを前提とすると、「近い将来、政策の枠組みが変更される可能性はさらに低下した」との見方を示した。副作用として金融機関の収益性低下を挙げたものの、「すぐには政策運営には影響しない」と説明した。

  エコノミストの間では、現在の金融政策の限界が近づいているとの見方も出ている。調査で、副作用の累積や技術的な限界を考慮した上で、長期金利0%、短期金利マイナス0.1%の金利操作がいつまで持続可能か聞いたところ、1年が8人(18%)、2年が12人(27%)、3年が13人(29%)と、2年以内に限界が来るとの見方が半数近くに達した。

  海外では、金融政策の正常化の動きが進む。欧州中央銀行(ECB)は14日、資産購入の年内終了を決め、月間債券購入額を300億ユーロから10-12月には150億ユーロに減らすと発表した。米連邦公開市場委員会(FOMC)は12、13日の会合で、今年2度目の利上げを決定。2018年通年の利上げ予測を4回に上方修正した。

  会合は従来、おおむね正午から午後1時の間に終了している。黒田総裁は午後3時半に記者会見を行う。 

注目点            理由
会見で物価低迷の背景説明黒田総裁は5月30日の国際会議で、多くの国で実体経済が大きく改善したにも関わらず物価と賃金の動きは鈍く、背景を解明することが「現在、喫緊の課題となっている」と語った。
副作用への見解は同月22日の国会答弁では、地域金融機関の基礎的な収益力は低下傾向にあると指摘。緩和の副作用も考慮して政策運営していく姿勢を示した。

ブルームバーグの事前調査の結果はこちら

前回の決定内容

  • 長短金利操作のうち、短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)は「マイナス0.1%」
  • 長期金利(10年物国債金利)の誘導目標は「0%程度」
  • 長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめどは「約80兆円」
  • 指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れは年間約6兆円、不動産投資信託(J-REIT)買い入れは同900億円
(6段落に米欧の動きを追加しました.)
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