露天商の息子がベトナムの電話市場を変えた-今は食品業界改革に挑む

  • モバイル・ワールド・インベストメントの時価総額は約1900億円
  • 食料品チェーンの「バックホアサイン」はホーチミンで376店

グエン・ドク・タイ氏の母親は露天で食べ物を売っていた。同氏がベトナムの携帯電話市場に革命を起こすと2009年に話した時、「みんなに笑われた」という。だが、タイ氏は有言実行だった。

  同氏のモバイル・ワールド・インベストメントは携帯電話販売でベトナム最大手となり、ベトナムの上場企業としても最大級だ。同社の時価総額は現在、17億ドル(約1900億円)。

グエン・ドク・タイ氏

フォトグラファー:Maika Elan / Bloomberg

  そのタイ氏(49)が今度は国内の食品産業を根本から変えると言う。今は周囲が同氏に耳を傾ける。ホーチミンでのインタビューでタイ氏は「食品業界の未来はとても明確だ。私が成功するかどうかという問題ではない。問題は成功するまでどのくらい時間が必要かということだ」と語る。

  ベトナムでは必ずしも清潔とは言えない露天で生鮮食品が売られていることが多く、産地も常に分かるわけではない。タイ氏は産地をはっきりと示したラベルを添え野菜や食肉、魚介類を販売する最初の店を16年にホーチミンで開いた。麺やドリンク類も販売する。

  このチェーン「バックホアサイン」は今やホーチミンで376店ある。「20年までに600億ドル規模の食品市場の10%を握るのが夢だ」とタイ氏は述べる。

モバイル・ワールドの店舗(ホーチミン)

フォトグラファー:Maika Elan / Bloomberg

  モバイル・ワールドによれば、同社はベトナム全土で1065店舗を展開。国内スマートフォン・携帯電話市場におけるシェアは4月末時点で45%だという。17年末時点でベトナムの携帯電話契約件数はほぼ1億2000万件と、総人口の約9400万人より多い。

  14年の上場以降、モバイル・ワールドの株価は6倍以上に値上がり。米誌フォーブスが昨年選んだアジアの大手上場会社ベスト50にベトナムから唯一入ったのが同社だ。「22年までに売上高を100億ドルにするのが今の私の夢だ」ともタイ氏は言う。

  もちろん常に順調ではない。モバイル・ワールドの売上高におけるバックホアサインの寄与は18年1-4月時点でわずか3%で、同社の首脳陣はこの食料品チェーンがまだ「試行錯誤」の段階だと認めている。

モバイル・ワールドの店舗(ホーチミン)

フォトグラファー:Maika Elan / Bloomberg

  Tシャツ姿でインタビューに応じたタイ氏によれば、節約のための服装ではない。「何を着るか考えるのはとても疲れる。それより会社をどうやって発展させるか考えるために時間を使いたい」と話す。貧しい環境で育ったことが、両親より良い生活をするという一つの目標を与えた。「常に大きく考え大きく行動したいと思っていた」のだそうだ。

原題:How a Street Vendor’s Son Became One of Vietnam’s Top Tycoons(抜粋)

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