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歴史的な米朝首脳会談は紛れもなく成功-北朝鮮の金委員長にとっては

  • 金委員長を称賛したトランプ米大統領が得た成果は不透明
  • 金委員長は一族の長年の戦略目標を達成、それ以外も勝ち取る
トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長

トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長

Photographer: SAUL LOEB/AFP
トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長
Photographer: SAUL LOEB/AFP

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との歴史的な米朝首脳会談は紛れもなく成功だった。金委員長にとっての成功だ。

  核戦争も辞さないと米国を確実に脅した金委員長は、一族の長年の戦略目標だった米大統領との1対1の会談の機会を勝ち取った。それだけではない。

トランプ大統領は北朝鮮に多くを与え過ぎたのか?ブルームバーグのケビン・チリッリ記者がリポート

出所:ブルームバーグ

  トランプ大統領は韓国との軍事演習を一時停止する意向を表明。中国は経済制裁の見直しを示唆した。トランプ大統領は金委員長に称賛を惜しみなく浴びせ、地球上で最も抑圧的な国の1つを率いる同委員長について、「賢明」で「優れた才能のある」人物と評価。会談実現は「大変光栄」だと述べ、委員長を信頼するとまで言った。

  ただ、あまり明確でないのは米国が見返りに何を得たかだ。米当局者は会談前、金委員長に「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)に同意するよう求めると強調していたが、トランプ大統領と金委員長の共同声明のどこにもこのフレーズはない。金委員長が核兵器を廃棄するスケジュールや検証手続き、非核化に関する共有の定義といった基本的な項目も見当たらない。

  大統領は今回の首脳会談を出発点と表現し、米国に害となるような譲歩はしていないとの認識を示した。記者会見で大統領は「私は何も諦めてはいない」と述べ、ミサイル・核実験の停止や、先の米国人3人の解放、朝鮮戦争に出兵した米国人兵士の遺骨を返還する約束など北朝鮮の譲歩と考える項目を読み上げた。

  朝鮮半島情勢に注目する一部の識者らは、金委員長から多くの具体的コミットメントが無かったものの、両国が挑発し合うより対話する方が良いと指摘している。新米国安全保障センター(CNAS)のアジア太平洋安全保障プログラム担当ディレクター、パトリック・クローニン氏は、「長年の敵国同士による初の外交上の首脳対面を実現させた会談を10と評価する」と述べ、「両首脳は幅広い政治的合意に署名し、詳細は専門家が今後行う交渉に委ねた」との見方を示した。

原題:Trump Gave Kim a Summit But Left With Little to Show for It(抜粋)

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