日本もユニコーン育む市場に変化-メルカリIPO成功で好循環に期待

  • ユナイテッド、3億円が450億円に「すごい会社に投資した」と金子氏
  • メルカリが成功例として起業家・投資家に自信与える-専門家

An employee browses the Mercari Inc. website on an Apple Inc. iPhone .

Photographer: Tomohiro Ohsumi

フリーマーケットアプリ大手のメルカリ4000億円超という異例の規模で株式新規公開(IPO)を果たすことになった。これは世界で戦えるユニコーン(企業価値10億ドル超の未公開企業)を育む企業のエコシステム(生態系)が日本でも機能し始めたことを表す。

  「すごい会社に投資したな。あの時、断らずに良かった」。主に個人間での中古品売買を仲介するアプリを手掛けるメルカリに、創業当初から3億円を投資し計算上約150倍の投資収益を上げたユナイテッドの金子陽三社長は振り返った。ネット広告や企業投資を主力とする同社は現在、新たな投資先を模索している。

金子陽三社長

Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  ユナイテッドのような存在が独自の技術やビジネスモデルで世界をリードする企業を育て、その株式売却益が新たな成長投資に回る。そしてユニコーンとなった企業はIPOなどを経て資金力を増し、事業拡大に必要な有望企業を買収してさらなる成長を遂げる。投資家の間でこうした好循環への期待が高まっている。

  米エイトローズ・ベンチャーズ・ジャパンのデービッド・ミルスタイン代表は、低金利などを背景にしたベンチャーキャピタルの資金提供力向上を指摘。以前と違い今なら企業は40ー50億円は余裕で調達できるとし、「起業家は未公開のままビジネスモデルをじっくりいじってさらに高成長を目指せるようになった」という。

起業家・投資家双方に自信与える

  日本では2000年前後にヤフーサイバーエージェント楽天などがスタートアップの第一波として相次ぎ上場し、株価の上昇も目立ったが、その後はネットバブル崩壊やライブドア事件などで萎縮した。しかし、今メルカリを成功例に起業家、投資家双方の間で期待が膨らんでいる。

  ベンチャーにも投資する米運用会社「500スタートアップス」のジェームズ・ライニー日本代表は、メルカリの登場でユニコーン企業への投資家の関心はますます高まったと指摘。日本でも短期間でユニコーンを生み出すことができた例として「起業家にも自信を与えた」と分析している。

  さらに価値向上を狙うにはグーグルアップルのように企業の買収・合併(M&A)という選択肢もある。米国ではグーグルが06年に米動画サイト大手のユーチューブを、アップルは10年に音声動作ソフトの「Siri(シリ)」を買収し、サービス領域を拡大した。売却者はその資金で新たな起業も可能だ。

「グーグル化」に期待

  ユナイテッドの金子社長は、日本のユニコーンがもっと成長するには買収戦略を生かすことも重要と指摘する。メルカリに企業の買い手としてグーグルのような「リーディングカンパニーになってほしい」と期待する。ユナイテッドも保有するメルカリ株の一部売却で得た約126億円をネット関連企業に再投資する方針だ。

  メルカリ創業者の山田進太郎氏は、早稲田大学卒業後に「映画生活」や「フォト蔵」などのインターネット・サービスを行うウノウを設立し、10年近く経営した後に米ソーシャルメディア大手のジンガに売却、その後13年にメルカリを立ち上げた。フリマアプリは日米で1億ダウンロードを超えるなど国際展開にも注力している。

  今後のユニコーン企業のIPOでは、仮想通貨交換業者のビットフライヤー、クモの糸の特性を活かした新素材を手掛けるスパイバーなどの名前が挙がる。製造業向けに人工知能(AI)を開発するプリファード・ネットワークスは2000億円規模の企業価値を持つと言われている。

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