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米朝首脳会談、握手で幕開けへ-非核化行程と体制保証が焦点

更新日時
  • 「真の合意」が実現するかどうか間もなく分かるとトランプ大統領
  • 核廃棄と引き換えに特別の保証を米国は準備していると米国務長官
トランプ大統領と金正恩委員長

トランプ大統領と金正恩委員長

Photographer: SAUL LOEB/AFP
トランプ大統領と金正恩委員長
Photographer: SAUL LOEB/AFP

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は12日、シンガポールで歴史的な首脳会談を行う。幕開けには握手を交わす予定だ。昨年には核戦争の危機すら感じさせた米・北朝鮮だが、首脳2人は昼食も共にする。

Kim Jong Un Tours Singapore Ahead Of Summit With President Trump

シンガポール市内を観光する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(11日)

Bloomberg

  両首脳の会談は、セントーサ島の高級ホテル「カペラ・ホテル」で午前9時(日本時間同10時)に開始。米朝の首脳が直接会談するのは史上初めて。会談結果は両国が永続的な平和の追求に向かうのか、新たな軍事対立が始まるのか、決定付ける可能性がある。

  会談を数時間後に控えて、トランプ大統領は12日早朝のツイートで、米国と北朝鮮の実務担当者の協議が「うまく迅速に進んでいる」とした上で、「過去の例と異なり、真の合意が実現するかどうか、われわれ全員が間もなく知ることになるだろう」と言明。また、「私が会談を行うという事実が米国にとって大きな敗北だと、私を嫌う人たちや負け犬たちは言う。われわれは人質を取り返し、実験や研究、全てのミサイル発射は止められた。しかし、最初から私のことを間違っていると言ってきたこれら評論家は、ほかに話すことがない!われわれは大丈夫だ!」と述べた。

  首脳会談は両首脳にとって大きな賭けだが、トランプ大統領はこの手法をますます好んでいる様子だ。オルブライト・ストーンブリッジ・グループのバイスプレジデントで、ブッシュ政権時代の国家安全保障会議(NSC)で北朝鮮との制裁協議を担当したエリック・オルトバック氏は「北東アジア安全保障の次の段階に向け、この首脳会議が鍵を握る。北朝鮮の核問題で先行きに大きな課題を残してはいても、より協調的なアプローチに進み緊張緩和に向かう可能性もあるが、会談が失敗すれば正反対の方向に進む恐れがある」と分析した。

  ホワイトハウスが11日明らかにしたところによると、両首脳は握手を交わした後、1対1の会談に入り、さらに側近を交えた拡大会合、ワーキングランチが続く。トランプ氏は同日夕方に記者会見を開いてその日のうちにシンガポールを出発する。同氏は以前、会談は2日間にわたることもあり得ると述べていた。

  不動産デベロッパー出身のトランプ氏は、金氏との会談をビジネスの交渉のようなものとして扱ってきた。一見華やかな約束やお世辞、柔軟な条件をちらつかせつつ常に交渉の席を立つ用意があると脅す手法だ。先週には金氏が軍縮に真剣なのか「最初の1分以内」に分かると発言した。

  金氏はより不可解で、計算高い。米シンクタンクの新アメリカ安全保障センター(CNAS)でアジア太平洋安全保障プログラムのシニアディレクターを務めるパトリック・クローニン氏は、北朝鮮の政権は米国との協議を歓迎する一方で、米国との予備交渉を無視し、トランプ政権の一部高官を激しく攻撃するなど、揺れ動きを見せたと指摘した。

「北朝鮮は非核化の用意ある」

  焦点となるのは、金委員長が核兵器プログラムを廃止する用意があるかどうかだ。トランプ大統領は北朝鮮が「非核化」を決断しなければならないとし、さもなければ合意はあり得ず、経済制裁は強化されると述べてきた。またトランプ政権が北朝鮮に「最大限の圧力」を加えたおかげで、首脳会談が実現したと自らの実績を強調してきた。

  ポンペオ米国務長官は11日夜、北朝鮮が核兵器能力を廃棄するまで米国は経済制裁を維持するとシンガポールで記者団に発言。「米国が唯一受け入れる結果」とは完全かつ検証可能で不可逆的な非核化だと、同長官は述べた。

  同長官は、核兵器の廃棄に関する北朝鮮の懸念を緩和するため「特例的」な保証を米国は準備しているとし、「非核化は悪い結末をもたらさないと北朝鮮が安心できるよう、われわれは十分な確信を与える措置を講じる用意がある」と語った。

  ポンペオ長官はまた、記者団に対し、北朝鮮が非核化の用意があると伝えてきたと述べた。しかし、両国政府が非核化の定義および行程で合意したかという記者団の質問に対してコメントを控えた。

  戦略国際問題研究所(CSIS)のアジア・日本担当シニアバイスプレジデント、マイケル・J・グリーン氏は、北朝鮮はこれまでも何度も非核化を約束してきたが、米国から譲歩を引き出すと公約を破り核プログラムを続けてきたとし、それを踏まえて対応する必要があると指摘した。同氏はブッシュ(子)政権でNSCアジア上級部長を務めた。

  金委員長は完全非核化の用意があるとみている専門家は少ない。非核化行程は、北朝鮮の核放棄と査察受け入れの見返りにトランプ大統領が何を提案するかにかかっている。

  トランプ大統領は、北朝鮮の体制を保証する用意があると述べてきたが、その方法は明らかにしていない。大統領はまた、制裁が解除されれば北朝鮮は経済的に恩恵を得るだろうとも発言した。一方、北朝鮮は自らを「核保有国」としており、北朝鮮の金桂冠第1外務次官は先月の声明で、非核化の前提条件として米国は「核の脅しと恐喝」をやめるべきだと主張した。

  朝鮮戦争終結に関しては、トランプ大統領は先週、両国首脳が合意に調印する可能性があると示唆している。

原題:Trump-Kim Handshake to Open Summit as Outcome Hangs in Balance(抜粋)

(3段落以降にトランプ大統領のツイッター投稿などを追加します.)
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