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静銀OBが運用塾、地銀が収益出す方法教えます-「含みより実現益」

「銀行の含み益経営は時代遅れ、キャピタルゲインで稼げ」。静岡銀行の資金証券部時代に収益の半分を有価証券売却益で上げ、銀行経営に10年以上貢献した小栗直登氏(60)の考えだ。同氏の元を運用難に苦しむ地方金融機関の運用担当者や頭取までもが訪れる。

Nagomi Capital Co. President Naoto Oguri

小栗直登氏

Source: Nagomi Capital

  小栗氏は2016年4月に和(なごみ)キャピタルを開業、運用人材を育成する「小栗塾」も運営する。塾生は3カ月間バーチャル運用し、「買うべきところで買い、売るべきところで売る。相場が自分の予想と逆に行った時はどうするか」を教え込まれる。現場に戻った後も毎月の運用結果を小栗氏らがレビュー。3カ月ごとに4人ずつ受け付ける枠は年内いっぱい埋まるほどの盛況だ。

  同氏は「地銀は基本的には流動性のあるもので運用し、機動的に売買してパフォーマンスを上げていくことが一番」と語る。銀行経営は、資金を集めて貸し出す業務が主流だという考えが根強く、有価証券の売却益(キャピタルゲイン)を利益と見なさない風潮があるという。超低金利の今こそ、利益は「何で出してもいいという発想の転換が必要」と話し、賛同する金融機関からのみ塾生を受け入れている。

  金利低下を背景に地銀はこれまで国内債を満期保有するだけで利息収入と含み益を享受できた。しかし、主力の貸出業務の不振で最終利益は減少傾向にあり、債券売買などで利益を上げていく必要に迫られている。近年は外債投資に力を入れてきたが、全国銀行協会の集計(16年度)によると地銀64行は米金利上昇で米国債の売却損が急増、国内外の債券関係損益全体では損失超過に転じた。

地銀の外債は削減傾向

出所:日本銀行

  小栗氏は「右から左へ償還が来たら買っている人たちが、『銀行で10年運用していた』と言っても、それは経験でも何でもない」と述べ、運用の人材が育たなかった背景には含み益経営があったと説明。地域金融機関は市場部門の位置付けを明確にして、含み損益で一喜一憂しているやり方を変えるべきだと話す。

過大リスクは取るな

  同氏は静銀に34年半在籍、主に市場運用に従事した。和キャピタルではこのほか、運用組織のコンサルティングや自身の運用ノウハウを反映したファンド助言(助言額は約1440億円)を行っている。

  和キャピタルによると、銀行は貸し出しや有価証券運用で2%程度のリターンでも経費を賄え、利益が出るとしており、小栗氏は「無用なリスクや過大なリスクを取りにいく必要はない」と指摘。日米独などの国債や株価指数連動型上場投資信託(ETF)といった流動性の高い有価証券でリスク2%程度に抑えた運用を勧める。

  例えば米国債は金利上昇で敬遠されがちだが、「米10年金利が3%の時点で米国債を買い、金利が下がったから安心するのではなく、一度利益を確定させ、また金利が上昇したら買えばいい」という。これに対して、社債など海外クレジット物は資金流入で買われ過ぎており、その反動で急落すると「流動性が低いのでどれだけ損が出るか分からない」と警告する。

  運用の在り方について、小栗氏はこうアドバイスする。「確実に益を出しつつ、危ないと思えばいつでも売ればいい。それが地域金融機関のやり方だ」。

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