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トランプ大統領と北朝鮮の金委員長、非核化を巡る相違-QuickTake

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北朝鮮の金委員長

北朝鮮の金委員長

Photographer: KCNA/AFP
北朝鮮の金委員長
Photographer: KCNA/AFP

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がシンガポールで顔を合わせる12日の米朝首脳会談の主要議題は非核化だが、それが意味するところや実現までの時間枠について見解の相違があるようだ。この相違克服が歴史的な結果に到達する鍵を握る。

1.非核化に対する米国の姿勢

  米国は朝鮮半島の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を目指し、これには北朝鮮に核プログラムと将来的に核爆弾を保有する能力を完全に放棄させることが含まれる。

2.北朝鮮にとって非核化とは

  北朝鮮は4月、「完全な非核化」に向けて取り組むと約束したが、その意味を詳細に明かしてはいない。 2016年の政府スポークスマンの声明で半島全体の非核化を求める中で、「韓国とその周辺の核兵器解体も含まれる」とした。ここ最近では、米国や中国、ロシアなど核保有国との協調を示唆している。

North Korea Dismantles Punggye-ri Nuclear Test Site

豊渓里の核実験場爆破(5月24日)

出典:News1-Dong-A Ilboゲッティイメージズ経由

3.米国の核は朝鮮半島にあるのか

  米国は1992年以降、韓国での核兵器配備を行っていないが、日本を含む同盟国の安全を保証する、いわゆる「核の傘」を提供している。金委員長は米国に対し、グアムから核搭載可能な爆撃機を撤収させ原子力潜水艦のパトロールを中止するよう求めるかもしれないが、同盟国を危険にさらす措置に米国が同意することは恐らくないだろう。

4.核を放棄させる時間枠

  スピードは米国にとって極めて重要だ。北朝鮮に核開発を進める時間を与え、制裁緩和をもたらすような長いプロセスは避けたい。ただ北朝鮮は、核放棄の見返りに体制保証と制裁緩和を与える「リビア方式」を受け入れない方針を明確にしている。この方式で2003年に大量破壊兵器を手放したリビアの最高指導者カダフィ氏は11年、米国が支援する民兵組織に殺害された。

5.この分野で進展があったか

  トランプ大統領は先月いったん、米朝首脳会談中止を決定したが、北朝鮮は「段階的」非核化を進める方針を押し出しトーンを和らげた。トランプ大統領も柔軟性を示唆し、今月1日には非核化を巡る北朝鮮との協議は「プロセスになる」と発言している。

6.非核化への検証可能で不可逆的な措置とは

  北朝鮮のミサイル試射・核実験の一時停止の延長、核分裂性物質の備蓄制限および最終的な廃棄、寧辺核施設の閉鎖が含まれ得る。また、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「火星14」と「火星15」および短距離ミサイルの生産を控え、最終的に廃棄する可能性もある。さらにこれらの検証で独立した査察団の受け入れ合意もあるかもしれない。

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ICBM「火星14」の発射(2017年7月)

出典:ゲッティイメージズを通じてKCNA / KNS / AFP

7.北朝鮮は交渉で何を求めるのか

  北朝鮮は米軍の削減、米韓軍事演習の縮小、朝鮮戦争を正式に終結させる平和条約、米国による外交的認知、制裁緩和を求めている。最も重要なのは、体制の保証だろう。金委員長と5月に2度目の首脳会談に臨んだ韓国の文在寅大統領は同委員長について、非核化すれば敵対関係をやめて北朝鮮の体制を保証するとしている「米国を信じていいのか」不安視していると述べている。

8.なぜ北朝鮮は体制保証を心配しているのか

  1950年に始まった朝鮮戦争は平和協定が結ばれておらず、北朝鮮は米国と休戦状態にある。金委員長にとって米国は、北朝鮮の存続に関わる脅威。アフガニスタンやイラク、リビアでの米軍の最近の行動は、核兵器が米国への抑止力として必要との委員長の見方を強めた。

9.米国はなぜ北朝鮮を懸念するのか

  米国は北朝鮮が周辺地域の同盟国や最終的には米国を脅かす核開発を進めていると長く懸念してきた。この懸念は、北朝鮮がミサイル試射を加速し、核実験の爆発規模が広島に米国が落とした原子爆弾の17倍の威力だったことで現実味を帯びた。さらに金委員長は昨年11月、米本土を射程に収めるICBM試射に成功したとして、核プログラムの完成を宣言した。

原題:How Kim Jong Un and Trump Differ on Denuclearization: QuickTake(抜粋)

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