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武田薬CEO、シャイアー買収株主同意に自信-OB株主グループ反発

  • 「武田薬品の将来を考える会」、堅実経営求め株主総会で反対派固め
  • 国際化に反発も昔の武田では勝てない、否決は難しい-アナリスト
クリストフ・ウェバーCEO

クリストフ・ウェバーCEO

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

クリストフ・ウェバーCEO

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

国内で過去最大級の企業買収となる製薬大手シャイアーの買収で世界トップ10入りを目指す武田薬品工業のクリストフ・ウェバー最高経営責任者(CEO)は、買収に対して一部の株主が反対しているものの、買収案は株主に受け入れられるとの考えを示した。

  同社OBを含む株主ら約130人による「武田薬品の将来を考える会」(高山郁代表)の会員で、武田薬のグループ会社の武田不動産元社長でもある原雄次郎氏(88)はインタビューで、総額6兆円超で武田薬が買収するシャイアーが得意とする「希少疾患は患者数も少なく、一企業が手掛けるにはリスクが高すぎる」と反対する考えを示した。

  同会としては買収に伴う新株発行の可否を決める臨時株主総会で、他の株主にも働きかけて買収を阻止したい考え。ただ、同会の会員の持ち株比率は合計しても1%程度で買収に反対する株主はすでに株を売却し、残っている株主は賛成派が多いため実現は容易ではないとみている。それでも、元従業員の立場から反対意見を表明したいという。

  ウェバー氏はブルームバーグの取材で「彼らはグローバル化を好まず、武田がドメスティックな企業であってほしいと望んでいる」とし武田薬の立ち位置とは隔たりがあるとしたうえで、「いずれにしても、シャイア-買収は株主の賛同を得られるだろう」と述べた。

  武田薬は5月、シャイアーを新株の発行と現金を組み合わせて約460億ポンド(6兆8000億円)で買収することで合意。国内企業による過去最大規模の海外企業買収となった。資金調達で限度額308億5000万ドル(約3兆3873億円)の資金の借り入れについて複数の金融機関とブリッジローン契約を結んだ。財務悪化懸念で武田薬の株価は買収が最初に報じられた3月下旬から2割程度の下落となっている。

国際化に強い反発

  OBから反発を招く背景となっているのが、海外の製薬企業との競争が激化するなかで武田薬が目指した急速な国際化だ。武田薬は2003年に就任した長谷川閑史前社長(現相談役)時代から国際化にかじを切り、外国人幹部の登用を進め、外国企業の買収を重ねた。後任には同社初の外国人社長となるウェバー氏を指名した。

  高額な報酬で外国人幹部を迎え入れるようになり、多くの日本人幹部が会社を去ったといい、買収で会社を大きくするばかりではなく、「堅実な経営をしてほしい」と訴えた。買収に関しても08年の米ミレニアムや17年の米アリアド・ファーマシューティカルズなど武田の元々の重点領域であるがんなどの強化につながるような案件で、1兆円を超える超高額の規模でなければ認められるとした。

  武田薬は年末から年始にかけてシャイア-買収に伴う新株発行の承認を決議するための臨時株主総会を開く。会社法によると特別決議の可決には株主の過半数が出席し、そのうち3分の2以上の賛成を得る必要がある。同会では今月28日の定時株主総会でも、1兆円を超える買収を行う場合、取得株式の割合や資金調達の方法を説明したうえで株主総会における事前決議を行うよう定款の追加を求める株主提案を提出している。武田薬取締役会は機動的な意思決定を阻害するとして反対の意向を示している。

  ブルームバーグのデータによると、武田薬品の筆頭株主は7.35%を保有する年金積立金管理運用独立行政法人。上位株主は日本生命保険や三井住友トラストホールディングス、JPモルガンなど機関投資家が名を連ね、上位30位の株主だけで約6割を占める。一般的に買収額が上がるほど破談金も高額になるため、シャイア-の買収を中止すれば武田薬にとって損失も予測される。

  SBI証券のシニア・マーケットアドバイザー、雨宮京子氏は武田薬の株主は機関投資家が多く、否決に必要な3分の1の反対票をまとめるのは「難しいのではないか」とみる。国際化が進むなかで「昔の武田では世界には勝てない」現実があるなか、OBの立場としては「愛社精神が大きく、新しいことに打って出たことに対しての反発がある」との見方を示した。

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