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トランプ式貿易戦争にウォール街は高枕、企業の景況感悪化するまでは

  • 関税の脅しに貿易相手国は困惑も、インフレへの影響は当面限定的
  • 設備投資先送りになれば悪影響は深刻化へ、テールリスクではない
トランプ大統領

トランプ大統領

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
トランプ大統領
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

トランプ米大統領が輸入関税という脅しを乱発しても、今のところ世界経済の見通しは安泰のようだ。貿易相手国の首脳らは困惑し頭を抱えているが、ウォール街のエコノミストらは総じて、今年の世界経済は堅調な成長を遂げるとの見通しを変えていない。通商を巡るいざこざが及ぼす悪影響は軽微にとどまるとみている。

  25%の鉄鋼関税を例に推計すると、食品とエネルギーを除いた消費者物価指数(CPI)は3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 上昇すると、ゴールドマン・サックス・グループは4日付のリポートに記した。

  トランプ大統領の関税攻勢はまだ始まったばかりだという見方もある。脅しをすべて実行に移せば、4750億ドル(約52兆1800億円)の財が影響を受け、コアインフレは約15bp加速するとゴールドマンは予測。それでも小幅な上昇と言えるが、これが米金融政策当局の注意を引けば利上げペースの加速につながりかねない。

  「関税賦課があちこちで発生しても、それ自体の影響は比較的限られている」とドイツ銀行のチーフ国際エコノミスト、トルステン・スロック氏は指摘する。「本当に危ないのが、次に何が起きるか分からない不透明感であることに変わりはない」と語った。

  スロック氏はその上で、貿易摩擦が企業の景況感を暗くし、設備投資など投資決定の先送りにつながれば、悪影響は深刻化する恐れがあると警告する。世界的な金融危機後、長年にわたって慎重だった企業の設備投資は、共和党による法人税率引き下げなどの影響でようやく持ち直し始めたところだ。

  「次はうちの業界だろうか、とのささやきが飛び交っている」とスロック氏。世界的な貿易戦争という脅威は「もはやテールリスクではない」と述べた。

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(出所:Bloomberg)

原題:Why Trump’s Trade War Isn’t Worrying Wall Street Economists, Yet(抜粋)

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