コンテンツにスキップする

イタリアの新政権、雇用巡る欧州の古いジレンマに直面

  • アルセロール・ミタルによるイルバ買収計画、五つ星運動は反対
  • 6月30日に完了しなければ製鉄所で資金枯渇、市民の生活脅かす恐れ

イタリア南部の港湾都市ターラントは、欧州最大規模の製鉄所の煙突が立ち並び、その溶鉱炉が地元経済を支配する町だ。古い港には煙が流れ込み、何十年にもわたる公害で黒ずんだれんがの上で漁師たちが水揚げした水産物を仕分けている。

  この製鉄所では1日当たり平均で1万3000トンの鉄鋼が生産されるが、約100万ユーロ(約1億2800万円)の赤字も出ている。同業のアルセロール・ミタルによる18億ユーロでの買収は6月30日に完了する予定だが、それが実現しなければ国の管理下にある同製鉄所は7月までに資金が枯渇し、市民20万人の約4分の1の生計が脅かされることになる。

  イタリアのポピュリスト革命がわき起こってきたのは、このような場所からだ。ターラントは1日に発足したばかりの新政権に最初の大きな試練をもたらす。

The Ilva SpA Steel Plant That Tops Italy's Newborn Government Worry List

ターラントにあるイルバの製鉄所

写真家:Giulio Napolitano / Bloomberg

  連立政権を発足させた2党の一角である「五つ星運動」は、3月の総選挙ではターラントで48%の票を獲得。アルセロール・ミタルのディールに反対し、支持者により良い条件を約束していた。公約を実行する立場にある今、同党は自らの計画を固める圧力にさらされている。

  イルバの製鉄所は2015年以来、国の管理下にあり、基準を満たさない機械による環境汚染を抑制するため生産量は制限されている上、労働組合からの圧力を受けて政府は人員削減策を撤回している。このため工場には持続不可能なコストが残り、金融危機終了後の欧州の需要回復という好機を生かし切れていない。アルセロール・ミタルは同工場の安全性向上や環境汚染抑制に向けて23億ユーロを投資する計画だが、数千人規模の人員削減を行う可能性が高い。

Toxic City

Ilva's emissions pose a risk to health in Taranto

Source: Apulia Regional Environmental Protection Agency

  アルセロール・ミタルは今月30日に取引を完了させる方向で取り組んでいるが、五つ星運動は計画への抵抗をあおっている。五つ星運動は製鉄所の環境汚染問題の是正を求める一方で、雇用の保護を呼び掛けており、労働者が他の地元産業に最終的に吸収され得るとしているが、具体策は示していない。アルセロール・ミタルとイルバは買収が頓挫する可能性についてコメントを控えた。

原題:Italy’s New Government Faces an Old European Dilemma Over Jobs(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE