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【日本株週間展望】小幅安、米貿易摩擦懸念が再燃-好業績と割安支え

  • 米トランプ政権の鉄鋼・アルミ関税発動にEUやカナダは報復を表明
  • 日経平均PBRは1.31倍、2000年以降の平均下回り割安-野村証

6月1週(4-8日)の日本株は小幅安となりそうだ。トランプ米大統領の関税政策を巡る中国や欧州などとの貿易摩擦が懸念され、世界経済への影響警戒で売りが出やすい。ただ、日本株は依然割安な上、企業業績も堅調なため見直し買いが入りやすく、下げは小幅にとどまるとみられる。

President Trump Hosts Nigerian President Muhammadu Buhari At The White House

トランプ米大統領

Photographer: Olivier Douliery/Pool via Bloomberg

  米トランプ政権は5月31日、欧州連合(EU)とカナダ、メキシコ製の鉄鋼とアルミニウムに対し、猶予していた輸入関税を発動することを決めた。これに対してEUやカナダは報復措置を表明し、世界経済に影響を与えかねない貿易戦争に発展するとの懸念が高まっている。トランプ大統領はまた、中国からの輸入品500億ドル相当に制裁関税を課す計画を推し進め、最終案を15日までに公表して速やかに発動する方針だ。タイムリミットを前に米中交渉で進展がなければ、ドルが売られて円高に振れやすく、日本株市場にとってネガティブ。

  一方、良好な日本企業の業績と株価の割安感は健在で、売り込む動きは限られそう。野村証券によると、為替相場が現水準の1ドル=109円程度であれば、2018年度第1四半期(4-6月)の企業収益は増収率が6%強、経常増益率は12-13%が見込まれる。同証投資情報部の小高貴久エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「足元の日経平均株価の株価純資産倍率(PBR)は1.31倍で、2000年以降の平均1.50倍に比べて割安感が強い」と指摘。今年度の自己資本利益率(ROE)も前年度に達した10%台が維持される見込みであり、株主還元と併せてPBRはもう一段の上昇が期待できるとみている。

  米国では4日に4月の製造業受注、5日に5月のISM非製造業景況指数が発表される。市場予想は製造業受注が前月比0.5%減(前回1.6%増)、ISM非製造業は58.0(同56.8)。国内では8日に5月の景気ウオッチャーが公表される。7日には日米首脳会談が開催され、北朝鮮問題とともに米国の自動車の輸入関税などに協議が及ぶかが注目される。もっとも、第2週は12日開催が再浮上の米朝首脳会談、米連邦公開市場委員会(FOMC)、欧州中央銀行(ECB)政策委員会、日本銀行の金融政策決定会合と、重要イベントが目白押しのため積極的な売買は手控えられそう。5月5週の日経平均株価は週間で1.2%安の2万2171円35銭と続落した。

日経平均株価と米10年債利回り

≪市場関係者の見方≫
セゾン投信運用部の瀬下哲雄運用部長
  「米トランプ政権の強硬な通商政策が中国やEUなどとの貿易摩擦を再燃させ、欧州の政治不安も解決しない状況が続くことから、リスクオフの流れになりやすい。米国が発動した鉄鋼・アルミ関税でEUやカナダが報復を示し、トランプ大統領がさらに強硬策を取る危険性があり、世界経済を冷やす関税合戦になりかねない。米中貿易協議は中国が貿易赤字削減などの数値目標を出しにくく、抜本的解決は難しい。進展が見込めないと、リスク回避から日本株にマイナスに働く円高に向きやすい。注目は日米首脳会談。日本にとって影響が大きい自動車関税にトランプ大統領が言及する可能性があり、警戒が必要だ」

岡三アセットマネジメントの前野達志シニアストラテジスト
  「トランプ大統領は中間選挙まで保護主義的な政策を変えないだろう。米国が予想通り鉄鋼とアルミの輸入制限に踏み切り、EUなどの報復措置は貿易戦争を連想させる。自動車への関税導入の懸念も踏まえると、日本株は買いにくい。米朝首脳会談に向けた交渉では、トランプ大統領が朝鮮半島の非核化に向けて北朝鮮から譲歩を引き出すため、会談中止をほのめかす可能性があり、リスク回避の円高や株安を警戒すべき。米国では4月以降の景気持ち直しが視野に入る。南欧の政治リスクが米利上げに及ぼす影響は限定的で、日米金利差の拡大を背景とした円安基調が日本株を下支えする」

ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト
  「翌週の重要イベントを前に様子見ムードの中、米長期金利の落ち着きと為替の円安基調を材料にじり高とみる。イタリアはデフォルトするような状況になく、セーフティーネットも整備され、金融システム不安にはならない。イタリア政治への過度な警戒で売られた分の買い戻しが入るだろう。急低下した米国の長期金利は、堅調な景気や6月の利上げで3%台に向かいながら落ち着き、これを受けた米国株は上昇基調、為替はドル高・円安に向きやすく、日本株にプラスに働く。リスクは米朝首脳会談と米中貿易摩擦の行方。期限が迫る米中協議が決裂し、貿易戦争の懸念が強まれば、米国株安と円高のダブルパンチで日本株も大きく調整しかねない」

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