米金融当局は翌日物金利の制御能力失う、TB発行増で-クレディS

  • FF金利は1.70%、当局の目標レンジ上限1.75%に迫る
  • IOER微調整は機能しない、解決できるのは財務省-ポズサー氏
Photographer: Andrew Harrer
Photographer: Andrew Harrer

米財務省短期証券(TB)の発行急増の影響で、短期金利を制御する米連邦準備制度の能力が弱まり、実効フェデラルファンド(FF)金利を目標レンジ内に維持するのが困難になりつつある。クレディ・スイス・グループのアナリスト、ゾルタン・ポズサー氏が指摘した。

  元財務省アドバイザーのポズサー氏は30日のリポートで、財務省が1-3月(第1四半期)にTBを3500億ドル(約38兆円)近く発行したことで、連邦住宅貸付銀行(FHLB)割引債から海外レポ取引プールの拡大、通貨スワップ経由の合成TBなどの代替商品で既に飽和状態にあったマーケットは氾濫した。

  これによりTB利回り上昇に拍車がかかり、主要翌日物金利が押し上げられた。一部は既に当局が掲げる誘導目標レンジ1.50-1.75%の上限を上回っている。FF金利は足元で1.70%だが、この流れに追随しそうにみえる。
          

  金融当局者は実効金利を目標レンジの中心に戻す取り組みとして、超過準備の付利(IOER)を同レンジ上限を若干下回る水準に引き下げることを検討している。ポズサー氏は、現在は目標レンジの上限となっているIOERを微調整しても機能せず、実際には実効FF金利のレンジ突破を早めるだけとみる。

  ポズサー氏は「問題の源は銀行間の流動性の欠如ではなく、世界がもはや必要としない環境下でのTB過剰発行であるため、金融当局は金利を抑える目的では現時点で何もしない方がいい」と語った。
 
  債務上限によって米国債発行が制限された2017年は、TBに対する投資意欲の減退は起こらなかった。ただ、ことし2月に米議会が債務上限の実質引き上げに合意したことで供給過剰に道が開かれた。

  ポズサー氏によると、この影響で連邦準備制度の翌日物リバースレポの利用は記録的水準に落ち込み、TB利回りが実質的に翌日物金利の底になった。短期債利回りの上昇に伴い翌日物3者間レポ金利はIOERのすぐ手前まで上昇し、一般担保(GC)レポ金利は目標レンジの外に押し上げられた。

  金融当局がどんな制限を加えても、短期金利のゆがみを修正することはできない可能性があるとみるポズサー氏は「これを解決できるのは財務省だけだ。連邦準備制度ではない」とリポートに記した。

原題:As Fed Loses Control of Overnight Rates, Blame Shifts to T-Bills(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE