米朝交渉は空中戦、首脳会談が実現しないと双方にリスク-田中均氏

  • トランプ米大統領は大胆、北朝鮮非核化実現に「期待はある」
  • 02年小泉訪朝は準備に1年、北朝鮮は「けん制や揺さぶり」
Photographer: Jean Chung/Bloomberg
Photographer: Jean Chung/Bloomberg

元外務審議官で日本総合研究所国際戦略研究所の田中均理事長は、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談が実現しない場合のリスクは双方にとって大きいとの見方を示した。

  24日のインタビューと28日の書面での取材で語った。現在の米朝交渉は事前協議を飛び越え「かなり高いレベルで空中戦が始まっている」と分析。十分な成果が見通せない場合は中止の方が「好ましい」としたが、会談を見送る選択肢は「よっぽどのことがない限りないのではないか」と語った。

  その上で、北朝鮮は非核化を明言しており、「実はそうではなかったとなると、その結果を甘受しないといけない」と交渉が決裂した場合に被るリスクを強調。米国側も「振り上げたこぶしをどこかに下ろさないといけない」状況との見方を示した。

  6月12日開催を目指す米朝首脳会談を巡っては、両者による駆け引きが続いている。非核化を一気に進める「リビア方式」を主張した米政府高官の発言などに北朝鮮が反発。トランプ大統領は24日、北朝鮮側の「途方もない怒りとあからさまな敵意」を理由に会談取りやめを発表した。26日に2回目の南北首脳会談が行われた直後には一転して米朝首脳会談を依然検討していると表明した。

  田中氏は、2002年の小泉純一郎元首相の訪朝の際に北朝鮮との交渉を担当。首脳会談開催までには「1年間かかった」と明かす。当時、日朝平壌宣言の内容や拉致問題についてなどさまざまな準備が必要で、水面下での「秘密交渉の中」では北朝鮮から「色んな意味のけん制とか揺さぶりとかがあった」と振り返った。今回の米朝間では事前のやりとりが「ほぼパブリックなプロセス」になっていると指摘した。

  十分な事前交渉なく首脳会談に臨むトランプ大統領のやり方に対し、田中氏は「そんなことは以前の大統領だったら絶対にやらない」と驚きを隠さない。一方で「ひょっとすればこういう大胆な大統領ゆえに」長年の懸案である北朝鮮の非核化が「実現するかもしれないという期待はある」とも語った。  

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