ねじメーカーに半導体スーパーサイクルの恩恵、日精工部品増産(訂正)

訂正済み
  • 日中の工場でボールねじ2割増産へ-50億円投資、人員1400人に倍増
  • THKや日トムソンなどライバル会社の顧客からも強い引き合い

日本精工は、半導体製造装置や工作機械などの重要部品として使われるボールねじの生産能力を今期中に2割程度引き上げる方針だ。自動車用軸受けなど既存の製品に加えて最近はスマートフォンやあらゆるモノがインターネットにつながるIoT技術の普及を背景に、電子部品や半導体用製造装置などを製造するメーカーとの取引が拡大しており、増産要請に応じる。

日本精工「ボールねじ」のイメージ

Source: NSK Ltd.

  阿知波博也執行役産業機械事業本部副本部長は28日のインタビューで、「同時多発的にいろいろな産業界から当社のボールねじが欲しいと一気に需要が伸びてきた」と述べた。約50億円を投じて福岡県内の主要工場と中国遼寧省の瀋陽工場にそれぞれ生産ラインを増設する計画で、両工場の人員数は700人から1400人に倍増した。

  スマホだけでなく、スピーカーや家電製品などが直接ネットにつながるIoTの普及で半導体や電子関連部品の需要は旺盛だ。日本工作機械工業会によると、2017年の受注総額は前年比32%増の1兆6456億円で過去最高となった。受注の波が激しかった過去と異なり安定的に市場が成長し続ける「スーパーサイクル」に入ったとの指摘もある。

   阿知波氏は、特にIoT関連メーカーからの引き合いが強いという。菊池健次郎精機部長によれば、データーセンタ用や3D射出成形機などさまざまな用途について従来は他社製品を使っていたメーカーからも製造依頼が入っているという。

  日本精工の顧客である半導体装置メーカーの東京エレクトロンやスクリーンHDの株価は過去4年間に3倍から4倍程度上昇。オークマやアマダHDなど主要工作機械メーカーの株価も上昇している。

年度後半には代替受注可能に

  阿知波氏によると、今年度後半には増産効果が表れる見通しで、THKなどのライバルが供給していた他メーカーの分も一部代替的に受注できるようになるとしている。同氏は「自動車の自動運転が始まってからデータセンターを造る訳にはいかない」などし、産業界の動きを先取りする狙いだ。

  日精工のボールねじの世界シェアは30%程度(自社調べ、推計)で、ほかにTHK、台湾のハイウィン、黒田精工なども製造している。日精工ではボールねじを中心とする19年3月期の精機事業の売上高を前期比9.8%増の630億円と見込んでいる。

  今年中にまとめる予定の第6次中期経営計画(19-21年度)では、新たな工場施設の建設も視野にボールねじのさらなる生産能力増強に動く方針だ。第6次中計期間中の精機事業のピーク時売上高の目標値は今期推定比1割増の700億円とする考え。日精工の株価午前終値は前日比3.4%安の1228円だった。

   ブルームバーグ・インテリジェンスの熊谷侑大アナリストはボールねじの不足が、半導体製造装置メーカーや工作機械メーカーの生産のボトルネックになっているなかで、日精工のボールねじの生産能力増強は良いことと指摘。「各社ともボールねじが足りないのでシェアは変わらないと言われてきたが、日精工が先んじて能力を増強できれば日精工のシェアが拡大する可能性はある」と話した。

(30日配信の記事で第7段落の一部企業名を黒田精工に訂正しました.)
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