Photographer: Takaaki Iwabu/Bloomberg

【日本株週間展望】一進一退、米景気期待高まる-保護主義は警戒

  • 米国は緩やかな利上げ路線、景気楽観と為替安定で業績期待は継続
  • トランプ米大統領は米国第一主義を推進する公算、地政学リスクも

5月5週(28日ー6月1日)の日本株相場はボックス圏での推移が見込まれる。米国で緩やかな利上げが景気の持続的拡大につながるとの見方が強まる中、足元の良好な経済を確認する指標が示され、安心感が広がりそう。一方、11月の中間選挙での勝利を目指すトランプ米大統領がさらに保護主義的な政策を打ち出すとの警戒感がくすぶり、投資家のリスク選好度は一気には高まりにくい。

  米国では29日に5月の消費者信頼感指数、30日にADP雇用統計、31日に4月の個人消費支出(PCE)、1日に5月の雇用統計や供給管理協会(ISM)製造業景況指数が公表予定。市場予想は、PCEコアが前年同月比1.8%上昇、雇用統計での非農業部門雇用者数は前月比19万人増(4月は16万4000人増)、ISM指数は58.1(同57.3)。三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、「1-3月期にもたついた米景気は4月以降持ち直していると推測している。雇用統計を含め強めの数字への期待が高まり、米国株高を通じて日本株にも好影響をもたらすだろう」とみる。

トランプ米大統領

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  23日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)会合(5月1、2日)の議事録では、インフレ率が目標から上振れても利上げを急がない方針が示された。これを受けて今月半ばに3.1%台に上昇していた米長期金利は3%を割り込み、新興国の経済や金融市場に対する懸念が弱まった。投資家はリスク資産に対し前向きな姿勢を取りやすくなっている。中東や北朝鮮など地政学的リスクが高まるなかでも、ドル・円相場は1ドル=109円程度と企業の今期想定より依然円安水準で推移しており、業績上乗せ期待も健在だ。

  一方、米保護主義の高まりは警戒要因。トランプ政権は安全保障を脅かすとの理由から最大25%の自動車関税導入の検討に入った。通商政策の保護主義化で貿易摩擦が拡大すれば、好調な世界経済に悪影響を及ぼすリスクが意識される。6月12日に予定されていた米朝首脳会談が中止となり、朝鮮半島を巡る地政学リスクが再燃すると為替市場で安全資産とされる円が買われやすく、日本株を下押しする。第4週の日経平均は週間で2.1%下落し2万2450円79銭で終えた。

日経平均株価

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≪市場関係者の見方≫
大和住銀投信投資顧問・経済調査部の門司総一郎部長
 「トランプ大統領が今後もポピュリズム的な政策を打ち出すとの警戒感が買い意欲を弱める半面、米長期金利の上昇抑制で新興国市場の動揺が収まるとみており、日経平均は2万2000ー2万3000円のボックス推移を予想。米国による自動車への輸入関税検討の懸念が残る。日本のメーカーは米生産比率が高く相対的に影響は限られるが、コスト高を通じ業績に影響が及ぶ可能性は高く、関税引き上げなら明確な悪材料。一方、FOMC議事録を受け米長期金利の先高観測が弱まったことはサポート要因。米景気回復の持続性が期待されるほか、新興国の通貨下落や景気減速を招くとの懸念が弱まり、日本株の不透明感も和らぐ」

三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジスト
 「トランプ大統領の自動車関税検討や米朝首脳会談中止は相手国との駆け引きの一環で、過去2カ月の株高や円安トレンドを転換させるものではない。FOMC議事録では物価が一時的に上振れても緩やかに利上げを行うことを確認、足元の米長期金利低下は景気減速を織り込んでいるわけではなく、金利上昇とドル高・円安基調は変わらない。今期企業収益は会社計画で2%前後の純利益減少となっているが、過度な円高リスクがないことを踏まえると増益で着地する可能性は高く、上方修正期待が株価の押し上げ要因。日経平均は2万2000円台半ばで下値を固めた後、2万3000円を目指す」
 
損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの中尾剛也常務執行役員
 「政策よりも経済指標に目が向く結果、神経質な相場展開になりそう。鉱工業生産や消費動向、マクロ循環から判断すると、どちらかと言えば足元の米国のハードデータは弱めに出る可能性がある。さまざまなイベントが短期筋の売買材料になっているが、企業業績のモメンタムが鈍化していることが日本株の上値を抑えている。レンジ相場は当面続くだろう。北朝鮮問題は、米朝会談がうまくいっても世界経済にとってプラスになるわけではなく、逆に武力行使に至るという局面まで株式市場は織り込んでいない」

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