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Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

米中「停戦」は一時的か、貿易不均衡是正には構造改革不可欠と専門家

  • ムニューシン米財務長官「われわれは貿易戦争を保留する」
  • 2000億ドル削減には中国の対米輸出削減も必要とシー教授
Vehicles stand at a port in this aerial photograph taken above Shanghai, China, on Monday, April 30, 2018. China won't succumb to "threats" from the U.S., a senior government official said, hours before talks are set to begin Thursday with a delegation of the Trump administration's top trade policy officials.
Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

ワシントンで行われた2回目の米中通商協議は19日に両国が貿易戦争に踏み切らない意向を表明して終了したが、曖昧な部分のある貿易不均衡是正の公約が実行されない場合はこの「停戦」は一時的なもので終わる見通しだ。

  ムニューシン米財務長官は20日、「われわれは貿易戦争を保留する」と発言。「現在われわれは、枠組みを履行しながら関税は保留にすることで一致している」と説明した。

  トランプ大統領は中国からの輸入品最大1500億ドル(約16兆6000億円)相当に関税を課す計画を発表し、中国も同様の対抗措置で臨む姿勢を表明していた。世界1位と2位の経済大国である米中の全面的な貿易戦争突入が近いのではないかとの投資家の懸念は、ムニューシン長官の発言でひとまず和らぐ見通しだ。

  国際通貨基金(IMF)で中国部門の責任者を務め、現在は米コーネル大学教授(通商政策)のエスワール・プラサド氏は米中協議の共同声明について、「短期的な緊張緩和でしかない」と指摘。北京とワシントンでの2回の通商協議は「両国間の一時的な停戦をなんとかもたらしたが、貿易など経済問題の根本的な立場の違いは解消されないままだ」と述べた。

  米中は米国の中国に対するモノの貿易赤字の大幅削減で合意し、中国は米国製品の購入を「大幅」に増やすと約束した。しかし、ホワイトハウスは中国政府が年間の対米貿易黒字を2000億ドル削減するという要求に応じるだろうとしているものの、共同声明には具体的な数字は盛り込まれなかった。

米朝首脳会談も考慮

  トランプ大統領が対中強硬姿勢を引っ込めたのは、6月12日の米朝首脳会談に向け中国政府の協力が必要という戦略上重要な理由があるからだ。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長にとって政治経済面で最も重要な同盟国である中国の関与なしには、北朝鮮との平和協定締結は考えられない。

  だが、米中通商協議が立ち消えになった場合、中間選挙を11月に控え、トランプ大統領は再び対中貿易赤字対策を強めるよう、圧力を感じる可能性がある。上下両院での過半数維持を目指す共和党は、オハイオ、ペンシルベニア両州などでの集票でトランプ大統領の中国批判と労働者支援の公約に頼らざるを得ないためだ。

短期間の縮小困難

  米国の対中貿易赤字を短期間で縮小させるのは難しい見通しだ。中国の一党体制が個々の企業の支出決定に及ぼす影響力は他の大半の国々よりも強いとはいえ、中国政府が米国製品の購入をどう増やすかは不明だ。仮に中国が米国製品の購入を著しく増やした場合でも、米国の中国製品需要の問題が残る。共和党主導の減税・歳出増は米経済に財政刺激をもたらし、海外製品需要を押し上げると見込まれる。

  エコノミストらは、中国の貯蓄と投資の在り方を変える構造改革なくしては、両国の貿易不均衡是正は困難だろうと指摘する。経済成長を国家介入と輸出に大きく依存する中国は、急速な経済開放には消極的だ。

  カリフォルニア大学サンディエゴ校のビクター・シー(史宗瀚) 教授(中国政治・財政)は、米中両国がどのように貿易不均衡を2000億ドル削減するのか「想定するのは難しい」と指摘。「中国がエネルギーや原材料、航空機の輸入元を大きく変更して米国に有利にしたとしても、貿易赤字の縮小幅は1000億ドルにとどまるだろう。2000億ドル削減しようとするなら、中国の対米輸出の大幅削減と、サプライチェーンの劇的な見直しが必要になろう」と説明した。

原題:U.S.-China Trade Truce May Be Fleeting Absent Serious Reform (1)(抜粋)

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