Photographer: Kiyoshi Ota

JFEHD副社長:海外投資3000億円規模でも可能、大型案件も逃さず

  • 今期から3年間の中計で示した計画1000億円を上回る規模でも対応へ
  • 1トンでも多く生産することが最大課題、強い鉄鋼需要を取り込む
Photographer: Kiyoshi Ota

JFEホールディングスの岡田伸一副社長は、海外の鉄鋼事業での新規投資に積極的に望む考えを示した。今期(2019年3月期)から3年間の投資額は1000億円規模を計画しているが、収益力を高める好機と判断すれば3000億円規模に上積みしたとしても財務上、問題ないとの認識を示した。

  17日のインタビューで述べた。4月に発表した新中期経営計画では3年間で見込む総投資額は1兆円。国内では製鉄事業での設備投資を中心に9000億円、海外ではアジアなどの戦略地域に1000億円を振り向ける計画。

  インフラ建設の旺盛な東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドなどの新興国では鉄鋼需要の増加が見込まれる。岡田副社長は「仮に大型案件があった場合、2000億円や3000億円に増額して対応する力はある」と述べた。

  前期までに進めてきた財務体質の改善が背景にある。18年3月末の有利子負債残高は1兆3309億円と10年ぶりの低水準にまで減少した。今中計期間中の負債残高は若干の増加を見込んでいるが、投資余力は高まっていると判断している。

前期は10年ぶり低水準に

JFEHDの有利子負債残高の推移

出所:会社資料

  原資となる資金確保については、グループ全体での資金管理を強化する考えを示した。「資金管理を各事業会社や製鉄所で徹底的に行い、資産圧縮を進めることに焦点を置いている」と説明。棚卸し資産の回転日数を早めたり、在庫圧縮を徹底したりするなどして資金創出力を高める。

  傘下のJFEエンジニアリングでの受注プロジェクトの管理やJFE商事のコイルセンターなどでも「キャッシュの観点を強化して管理することが大きなテーマだ」と述べた。前中計の期間中には事業環境の悪化を受け、簿価ベースで1000億円の持ち合い株式の圧縮を打ち出したが、今中計では具体的な売却計画は立てていない。

1トンでも多く

  東京五輪関連の建設需要の本格化や高水準の自動車生産、海外での経済成長も底堅いことから鉄鋼需要は総じて堅調に推移するとみている。一方、老朽化などによる製鉄所での生産トラブルの影響で粗鋼生産を計画通り達成できず、需要の取りこぼしを防ぐことが鉄鋼業界の課題。

  岡田副社長は「とにかく量を出す。1トンでも多く生産することが最大の課題」と述べた。設備の維持・更新投資に加えて、異常を予知するためのセンサー設置など最先端技術の活用も積極的に進める。

  一方、「最大のリスクは中国景気」と指摘。景気後退で鋼材需要が落ち込めば、同国からの鋼材輸出が増加に転じ、アジア地域での市況悪化も招きかねない。為替相場についても1ドル=105円を割り込む水準まで円高が進めば、国内製造メーカーの鉄鋼需要への影響も懸念されるとして「110円前後での推移が望ましい」との見方を示した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE