富士フイルム:できるだけ早く提訴-米ゼロックス買収合意破棄で

  • ゼロックス取締役会から条件変更の申し出あれば「検討する」
  • 訴訟による買収計画の遅れ、「時間的な制約は受けていない」
ゼロックスが富士フイルムによる買収合意を破棄

富士フイルムホールディングス(HD)は18日に都内で会見し、米ゼロックスが富士フHDとの買収合意を破棄したことを巡り、訴訟を通じて買収の実現を目指す意向を示した。ゼロックス取締役会から条件変更の提案があった場合には検討する考えも明らかにした。

  助野健児社長は両社の取締役会で全会一致で決まった法的拘束力のある契約を一方的に破るのはおかしいと批判し、「できるだけ早く訴訟を起こしていく」考えを表明した。両社が結んだ契約は現在も有効であるため、法廷や株主に対して「正当性を粛々と訴えていく」と述べた。

  訴訟で買収計画に遅れが生じる可能性については「時間的な制約を受けているわけではない。いつまでにまとめるというよりもしっかり主張していくことが大事」と語った。買収を主導している古森重隆会長はこの会見に出席しなかった。

  ゼロックスは13日、富士フHDが富士ゼロックスの監査済み財務諸表を期限までに提供しなかったことなどを理由に契約の打ち切りを発表。アクティビスト(物言う株主)のカール・アイカーン、ダーウィン・ディーソンと和解し、ゼロックスのジェフリー・ジェイコブソン最高経営責任者(CEO)らが他の取締役数人と共に退任することも明らかにした。

  こうした動きを受けて、同社ではジョン・ビセンティン氏がCEOに就任し、副会長を兼務する。会長にはアイカーン・エンタープライゼズのキース・コザCEOが就く。ゼロックスは年次株主総会を7月31日に開くことを予定している。

買収の条件

  アイカーン氏らは買収計画の阻止を働き掛けており、ディーソン氏は2月に「株主の利益を犠牲にした」としてゼロックスを提訴していた。ただ、1株当たり現金40ドル以上に引き上げられれば買収提案を検討する意向も示していた。

  これに対し、助野氏は「一部株主の提案にすぎない」と否定的な考えを示した。一方で、ゼロックス取締役会から正式な条件変更の申し出があれば、「はねつける必要はない。将来にプラスになるなら検討する」と語った。

  SMBC日興証券の桂竜輔シニアアナリストは14日付リポートで、40ドル以上の要求であれば総額101億8800万ドル(約1兆1300億円)を超えることとなり、富士フHDのネットキャッシュを上回ると指摘。「衰退業界で減収傾向が続いている企業の価値としては割高」と評し、受け入れた場合は富士フHDの企業価値を毀損(きそん)すると分析した。

  助野社長はまた「15%という少数株主が指名した取締役が支配する取締役会によって、ゼロックスの全ての株主が統合の価値を判断する機会が奪われるなら残念」と発言。「残り85%の株主の考えをくみながら、われわれの提案がゼロックスの将来にとってベストだと訴えていく」と話した。

  富士フHDは1月、ゼロックスの株式50.1%を取得して富士ゼロックスと経営統合することで合意したと発表。富士フHD子会社の富士ゼロックスが海外展開できる地域が、ゼロックスとの関係でアジアやオーストラリアなどに制限されており、買収を通じて制限を撤廃する狙いだった。

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