スルガ銀:営業至上、審査振り切る-成長苦闘「不正の温床」と海外の声

Photographer: ROBERT GILHOOLY/Bloomberg

リテール重視の高収益で「地銀の優等生」だったスルガ銀行は、シェアハウス融資トラブルを契機にビジネスモデルの見直しを迫られている。過大融資の背景には、営業至上主義とそれを許した内部統制の不備があった。海外の専門家からは、企業統治(ガバナンス)改革が遅れた日本の企業文化を指摘する声が上がっている。

  女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」は個人投資家らがスルガ銀などから資金を借りて建設していた。同行は15日、その顧客に融資する際、残高を証明する通帳記録の偽造や改ざんのほか、自己資金水増しの契約書作成などの事実があったと発表。これらは融資額を増やすことにつながり、社内調査結果によると相当数の行員が認識していたという。3月末時点の関連融資は1258人、2036億円と個人ローン残高(約3兆円)の約7%を占める。

  同行は2017年3月期まで5期連続最高益を更新しており、「増収増益を継続しなければならないプレッシャーがあった」とした。危機管理委員会(委員長・久保利英明弁護士)の報告書は、シェアハウス運営会社との一体営業にのめり込んだリスク意識の欠如が今回の事態を招いたと分析。営業現場で融資実行至上主義がはびこり、難色を示す審査部担当者を営業幹部が恫喝するなど「コンプライアンス不在の状態にあった」と指摘した。

  スルガ銀の融資問題は圧力に負けて数字を操作するという点で、品質データを改ざんした神戸製鋼所や不正会計を続けていた東芝の不祥事などと姿が重なる。ブケパロス・リサーチ・パートナーシップ創業者のロバート・メッド氏は、バブル崩壊以降「多くの日本企業が成長を求めて苦しみ、ゴマすりを重視する企業文化も温存されてきた」と指摘。結果として「企業内の不正行為の温床となった」と話す。

ビジネスモデル再考

  15日会見したスルガ銀の米山明広社長らは「改ざんなどで融資が多く引き出されたということであり、われわれが不正融資をしたわけではない」とし、投資家が求める契約の白紙撤回には応じられないとしている。シェアハウス融資は主力業務ではなく、リテール重視の方針は変わらないとしたが、関連引当金の計上で前期(18年3月期)純利益はその前の期から半減し、八木健取締役は今期以降も「引当金の積み増しはないとは言いきれない」という。

  スルガ銀について、JPモルガン証券の西原里江アナリストは15日付リポートで金融庁が検査中ということもあり「当面は視界が晴れない状況が続きそうだ」と事態深刻化の可能性を指摘。この問題の行方次第でスルガ銀のビジネスや利益成長が左右されるとみている。SMBC日興の佐藤雅彦アナリストらも収益再構築は難航するとみており、16日の同行の株価は一時、前日終値比14%安の1302円まで急落した。

  メッド氏は「今後さらに多くのスキャンダルが露見すると思うが、ガバナンス改革は急速に進んでいく。皮肉なことに今スキャンダルが多く出てくるほど、将来への懸念は減る」と話している。

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