Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg

欧州債投資は年後半に波乱含み、ECBのタカ派化警戒-ニッセイAM

  • 対外証券投資:米債は6カ月連続売り越し、独債3カ月連続買い越し
  • ECBは伝統的に原油を含んだベースの物価を気にする中銀-三浦氏

低金利が長期化する日本国債やヘッジコストの高い米国債から、ヘッジ付き欧州債に収益機会を求めている国内機関投資家。ニッセイアセットマネジメントは、想定を上回る原油高の進行を背景に年後半には欧州債の値下がりリスクに留意する必要があるとの見方を示している。

  債券運用部の三浦英一郎リードポートフォリオマネジャーは、先週のインタビューで「欧州中央銀行(ECB)は伝統的にコアの消費者物価よりも原油を含んだベースの物価を気にする中銀で、原油が足元の水準まで上昇してくると、タカ派の声が強まらないかどうかというのは気になる」と指摘。「年度前半に資金の行き場がなくて欧州債に投資したのに、後半に利回りが上昇してしまうと、投資する先がなくなってしまう」と述べた。

  原油価格は中東情勢の先行き不透明感を背景に15日には1バレル=71.92ドルと、2014年11月以来の水準まで上昇した。原油高が加速すると、インフレ率の高まりへの警戒から、ECBが金融正常化を急ぐとの観測につながりやすい。過去には原油価格が07年6月からの12カ月間に70ドルから140ドルまで急騰した局面で、ECBは05年12月から08年7月まで断続的に政策金利を引き上げている。

  ECBは4月の会合で金融政策の現状維持を決定。月額300億ユーロの資産購入を少なくとも9月末まで継続し、その後もインフレが持続的に調整するまで続けると重ねて表明しており、量的緩和(QE)終了の決定は先送りされている。一方で、14日にはECB政策メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁が「利上げ開始はQE終了から数四半期後となるだろうが、数年後にはならない」との見解を示した。

  三浦氏は、「ECBの政策金利が年内は絶対に上がらないという見通しの下で、ヘッジコストが抑えられている欧州債をターゲットにしている国内投資家は多い」と指摘。ただ、「年内のQE終了が決まって利上げ時期の議論に移るとタカ派とハト派の温度差がより明確になり、金融市場が混乱しやすくなる可能性がある」と読む。

行き場のない投資資金

  財務省の統計によると、3月の対外証券投資では、米国債が6カ月連続で売り越しになった一方、ドイツ国債は3カ月連続で買い越し。ブルームバーグのデータでは、国内投資家が外債に投資する場合の3カ月物為替ヘッジコストは、ドルが2.5%前後で推移する中、ユーロはマイナス0.26%台となっている。

  三浦氏は、「日本銀行が出口論を巡る臆測を出さないように政策運営をする状態が続く見通しの中で、国内金利は極めて狭いレンジ内での推移が見込まれる。生命保険の目線は超長期債利回りで1%程度とみられ、円債に関しては海外金利の上昇などで行き場がなくなった時の資金つぶしに限られる」と見込む。

  米国債に関しては、「原油高が想定以上に進む中で、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内にあと3回利上げをする可能性がそれなりに高い。政策金利が上がっていく方向で、長期金利も上昇余地があり、ヘッジコストの高い米国債投資には不安がある」としている。


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