日本株続落、米金利の急上昇警戒-通信や建設など高負債セクター安い

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  • 米10年債利回りは3.07%と2011年来の高水準、景気に悪影響リスク
  • 為替安定が下支え、決算ポジティブ視のエーザイなど医薬品は上昇

16日の東京株式相場は続落。米国長期金利の急上昇を受け、景気やマネーフローに及ぼす悪影響が警戒された。有利子負債の多い情報・通信や建設、陸運、倉庫株などが下げ、自社株買い枠の減額が嫌気された三菱UFJフィナンシャル・グループなど銀行株も安い。

  TOPIXの終値は前日比4.80ポイント(0.3%)安の1800.35、日経平均株価は100円79銭(0.4%)安の2万2717円23銭。

  アストマックス投信投資顧問の山田拓也執行役員は、「原油高に加え、米長期金利が3%を一気に抜けてきたことを気持ち悪く思い、景気に与える影響が警戒された」と指摘。米金利の上昇が続けば、「米国だけでなく、世界経済を冷やすことになり、将来的に物が売れなくなるリスクから日本にも悪影響が及ぶ可能性がある」と懸念を示した。

東証アローズ

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  米商務省が15日に発表した4月の小売売上高は、前月比0.3%増と2カ月連続で増加。予想中央値(0.3%増)と一致し、前月は0.8%増に上方修正された。5月のニューヨーク連銀製造業景況指数も20.1と、市場予想の15を上回った。景気の堅調で米金融当局の利上げピッチが速まるとの観測から、米10年債利回りは7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.07%と、2011年以来の高水準を付けた。

  一方、北朝鮮は16日、米韓空軍が参加する合同訓練を理由に、同日予定されていた韓国との閣僚級会談中止を表明した。いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「米国の景気状況から適温相場と言える金利水準は3.1ー3.2%程度、これに近づきつつある」と指摘。朝鮮半島の南北閣僚級会談の中止も、「心理的悪化から相場には良くない。来月の米朝首脳会談にも影響するようならリスクオフとなり、円高を警戒しなければならない」と言う。

  米金利高や北朝鮮のリスクが意識され、きょうの日本株は下落スタート。内閣府が朝方発表した日本の1ー3月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比年率0.6%減と9四半期ぶりにマイナス成長となったことも投資家の買い意欲を減退させた。ただし、TOPIXは午後に入り一時プラス圏に浮上するなど相場全体の下方圧力は限定的。一因は為替の円安推移だ。きょうのドル・円は1ドル=110円20ー30銭台で安定、前日の日本株終値時点は109円88銭だった。

  岡三証券の山本信一シニアストラテジストは、円安は「緩衝材。原油価格の上昇で米国のインフレ率が今後高まるリスクはあるが、景気は過熱しておらず、米長期金利が3%を超えどんどんと上昇していくことは考えにくい」としている。

  東証1部33業種は鉱業、倉庫・運輸、情報・通信、建設、非鉄金属、電気・ガス、銀行、石油・石炭製品、不動産など21業種が下落、上昇は医薬品、保険、証券・商品先物取引、サービス、空運、金属製品、ゴム製品など12業種。

  売買代金上位では、今期減益計画と自社株買い枠が従来規模から半減した三菱UFJフィナンシャル・グループ、JPモルガン証券がシェアハウス問題の深刻化を懸念したスルガ銀行、従来計画以上の前期減益となったトリドールホールディングスが売られた。これに対し、リミックスポイントの好決算連想でマネックスグループやSBIホールディングス、GMOインターネットなど仮想通貨関連銘柄は上げ、前日午後の増益決算にモルガン・スタンレーMUFG証券やSMBC日興証券アナリストがポジティブ視したエーザイも高い。リクルートホールディングスや第一生命ホールディングスも堅調。

  • 東証1部の売買高は16億2672万株、売買代金は2兆6028億円
  • 値上がり銘柄数は890、値下がりは1120

 

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