東芝の今期営業益、メモリー除き9%増見込む

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  • 「東芝メモリ」実現後の株主還元を明記、前期末の債務超過は回避
  • Nextプランを策定へ、数値目標の設定やコスト見直し進める
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

東芝は15日、今期(2019年3月期)の連結営業利益予想は前期(18年3月期)比9.3%増の700億円となる見通しだと発表した。売却する予定の半導体子会社「東芝メモリ」の損益は反映されず減収となるが、事業の採算改善などからグループ全体で増益を見込んでいる。

  営業益予想はブルームバーグの集計によるアナリスト6人の予想平均991億円を下回った。開示資料によると、東芝では営業増益の要因としてパソコン事業の黒字化などを見込んでいる。売上高予想は前期比8.8%減の3兆6000億円、純利益は東芝メモリ一部株式の売却益9700億円の計上などで33%増の1兆700億円と見通した。

  米原子力事業の巨額損失で一時は7500億円の債務超過と見込んでいた自己資本は、6000億円の増資や米原子力子会社の債権売却益などで増強、3月末時点で7831億円のプラスとなり債務超過は避けられた。前期の純損益は半導体部門の寄与などで8040億円の黒字と4期ぶりに黒字転換し7年ぶりの最高益となった。

  東芝は年内に策定する5年間の中期経営計画「東芝Nextプラン」の検討方針も発表した。まず事業ごとに数値目標を設定、調達・販売コストなども見直して収益力を強化、構造転換を図る。東芝メモリについては早期売却を目指し、売却後には自社株買いを含めた株主還元を実施する方針を明記した。

描けるか成長戦略

  東芝は2期連続の債務超過を回避し上場維持も確実となった。今後は三井住友銀行元副頭取で外資系ファンドの幹部経験も持つ車谷暢昭会長兼最高経営責任者(CEO)の下で、社会インフラ、エネルギーなどに分社化された4部門の成長戦略を練り直すことになる。売却後も一部保有を続ける半導体部門の立て直しも焦点だ。

  エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは「東芝は既に手元に豊富なキャッシュがあるが、メモリー事業の売却はさらなるキャッシュをもたらすだろう。だがそれで株主還元するとしても一時的なことだ」と指摘。「メモリー事業の先行きが明確になるまでは、長期的な評価は難しい」と述べた。

  東芝は財務立て直しの切り札として、ベインキャピタル連合にメモリー事業の一部を売却することを決めたが、残る中国独占禁止法当局による審査が長引き、売却手続きは停滞。中国の結果次第では、売却計画は頓挫しかねない。ただ、売却できなくても海外投資家を引受先とする増資などで債務超過は回避できた。

  車谷会長は本社での会見で、東芝メモリの売却について「現在審査中で今のところネガティブな情報はない。われわれとしては売却前提で待っている」と強調。売却の可否が確定しない中でも開発競争が激化し、毎年数千億円規模が必要となるメモリー事業の設備投資については、東芝メモリの中で十分賄えると述べた。

(第8段落に車谷会長のコメントを追加します.)
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