自民党総裁選へ、存在感示す派閥-国会議員票の行方占う鍵に

  • 「額賀派」が「竹下派」に衣替え、岸田派は政策パンフ
  • 次の総裁の世論調査で小泉氏が首位、自民支持層なら安倍首相-共同

安倍晋三首相

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

9月に予定されている自民党総裁選に向け、党内の各派閥が存在感を示し始めている。森友・加計問題などを国会で追及され、安倍晋三首相の「1強」体制に陰りも見える中、派閥の動向は国会議員票の行方を占う鍵になる。

  今回の総裁選では安倍首相の3選を支持する声が上がる一方、石破茂元幹事長、野田聖子総務相が立候補に意欲を示している。岸田文雄政調会長は態度を明確にしていない。大胆な金融緩和などを掲げたアベノミクス、来年10月からの消費増税と財政政策、憲法改正などが主な争点になりそうだ。

  共同通信が12、13両日に実施した世論調査によると、誰が次の自民党総裁にふさわしいかの質問に、小泉進次郎筆頭副幹事長が26.6%でトップとなり、石破氏が24.7%、安倍首相は21.2%だった。ただ、自民党支持層に限ると安倍首相が45.8%と、20.4%で2位の小泉氏を引き離した。

  立候補には現職国会議員20人の推薦が必要。最大派閥・細田派出身の安倍首相、自らも派閥を率いる岸田、石破両氏に比べ、無派閥の野田、小泉両氏は不利な状況にある。野田氏は15年総裁選への出馬を模索したが、推薦人が集まらずに断念した。自民党所属国会議員は405人。

  主な派閥と詳細は以下の通り。

1、細田派(清和政策研究会、94人)

  1979年に福田赳夫元首相が創設した。当初の名称は「清和会」。2000年に森喜朗政権が誕生するまで長く冬の時代が続いた。21世紀に入ると小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫の各氏が相次いで首相に就任。12年12月の第2次安倍政権発足後は最大派閥として安倍「1強」を支えた。

  会長の細田博之前総務会長は小泉政権で官房長官、麻生太郎政権で幹事長などの要職を歴任した重鎮。現在も党憲法改正推進本部長として首相を支える立場にある。

2、麻生派(志公会、59人)

  昨年7月に結成された。麻生副総理兼財務相が率いる派閥と山東派などが合併して細田派に次ぐ第2派閥となった。河野太郎外相、甘利明元経済再生担当相も所属している。

  麻生氏は現政権発足から5年以上、閣内で首相を支えているが、文書改ざんや前事務次官のセクハラ問題など財務省で不祥事が相次いだことで、野党が辞任を要求している。

3、竹下派(平成研究会、55人)

  今年4月に額賀福志郎元財務相から竹下亘総務会長に代替わりした。「経世会」時代も含めると、1980年代後半から90年代にかけ、竹下登、橋本龍太郎、小渕恵三と3人の首相を輩出。長く党内最大派閥だったが、現在は麻生派に次ぐ第三派閥に甘んじている。

  竹下亘氏は登元首相の弟。共同通信によると、14日の講演では自派の支持候補を決定するのは総裁選直前になるとの見通しを明らかにしている。
  
4、岸田派(宏池会、47人)

  1957年に創設。現存する派閥で最も古い歴史があり、創設者の池田勇人氏や、大平正芳、鈴木善幸、宮沢喜一の計4氏が首相となった。岸田氏は安倍首相の下で外相を4年半務めた後、昨年8月の人事で政調会長に就任し、初めて党3役入り。「ポスト安倍」の有力候補の1人となっている。同派は外交・安全保障政策では伝統的にハト派とされ、派内には憲法9条改正に慎重な意見もある。

  岸田派は4月に行ったパーティー出席者に配布した政策パンフレットの中で、「トップダウン」の政治から「ボトムアップ」に切り替えると強調。経済政策についても「大企業・中央偏重」から、「中小企業・地方が主役」の仕組みを作ると訴えるなど、現政権の政権運営やアベノミクスからの転換をにじませた。

5、二階派(志帥会、44人)

  1999年に当時の村上派、亀井グループが合併して誕生。当初は村上正邦元参院議員会長、中川昭一元財務相らが所属し、タカ派色が強かった。現在は親中派として知られる二階俊博幹事長が率いており、そうしたイメージは薄らいでいる。二階氏は4月23日の記者会見で、安倍首相の総裁3選支持するこれまでの方針について「全く変わりがありません」と述べた。

6、石破派(水月会、20人)

  石破氏を将来の首相に推す議員が集まり、15年に発足させた新派閥。現政権発足後、石破氏は幹事長、地方創生担当相として首相を支えたが、16年8月の内閣改造で無役となり、現在は政権と距離を置いている。斎藤健農水相は同派に所属。

  石破氏は先月19日の派閥の会合で、アベノミクスによる雇用改善などを評価する一方で、自らは「地方のポテンシャルを最大限発揮」していく経済政策を打ち出す方針を示している。憲法9条改正については戦力不保持を規定した2項を維持したまま自衛隊を明記する安倍首相の案には賛同していない。

7、石原派(近未来政治研究会、12人)

  党副総裁などを務めた山崎拓氏の派閥を石原伸晃元幹事長が12年に引き継いだ。森山裕国会対策委員長らが所属している。経済再生担当相などを務めた石原氏は安倍首相と近い関係にあるが、非議員の山崎氏は安保関連法の制定に反対するなど距離を置いている。

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