Photographer: Joshua Roberts/Bloomberg

ようやく効き始めた米利上げ、国内よりも新興市場に痛みか

  • ドル建て債務積み上げた国々の信用力、投資家は再検討
  • 米経済は大型の景気刺激策に支えられて力強く前進へ
Photographer: Joshua Roberts/Bloomberg

米金融当局は現行の利上げサイクル開始から2年余りを経て、ようやく金融情勢の引き締めに成功しつつある。唯一の問題はその経済的な影響が米国自体よりも海外で感じられている点だ。

  米国債利回りの上昇とドル高に伴い、ドル建て債務を積み上げた国々の信用力を再検討する動きが投資家の間に広がり、新興市場は動揺に見舞われている。これとは対照的に米経済は大型の景気刺激策に支えられて力強く前進する見通しで、今年4-12月の成長率は平均で年率3%前後に達するとエコノミストは予想している。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチの世界経済調査責任者、イーサン・ハリス氏(ニューヨーク在勤)は「米国がくしゃみをすれば世界の他の地域が風邪をひくという、古いことわざにやや似た状態だ」と語った。

  新興市場に動揺があっても、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局が6月12-13両日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)で今年2回目となる利上げを見送ることはないと予想されている。FRBウオッチャーが注視しているのは、3月に続き6月も実際に利上げした場合、当局が予想する年内の利上げがあと1回と2回のどちらになるかだ。JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は後者の2回と見込んでいる。

  次期FRB副議長に起用されたパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のグローバル戦略アドバイザー、リチャード・クラリダ氏は15日、上院銀行委員会の指名承認公聴会で証言する予定で、投資家は米金融当局の今後の戦略を垣間見ることができそうだ。

  米金融当局が2015年12月に利上げに着手して以降、それに対応して金融情勢が引き締まり、経済のバランスを保つ取り組みを支援すると当局者は想定してきた。だが、その後しばらくは株価が上昇して信用スプレッドは縮小しドルは下落。状況が変わり始めたのはほんの数カ月前のことだ。インフレ加速と当局の利上げ継続で投資家のリスク選好が後退し始めたもので、JPモルガンのフェロリ氏は当局者について、「彼らが望んでいたものを手に入れつつある。成長のペースを制御する方向に一部の事態は動き始めている」と話した。

  金融情勢の引き締まりは新興市場に混乱を引き起こし、国内の問題を理由に投資家心理の急激な変化にさらされた国々では特に顕著だ。アルゼンチンは自国通貨ペソの急落に歯止めを掛けようと、国際通貨基金(IMF)との間で信用枠を早急に取りまとめようと協議。トルコは政策意図に関する相反するシグナルの下で信認面の危機に直面している。

原題:Fed Finds Success at Home Spreads Pain Abroad as Markets Tighten(抜粋)

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