Photographer: Noriko Hayashi

女性活躍企業に日銀マネー、連動ETFが上場-ESG投資に追い風か

  • MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)連動型ETFが東証上場
  • 日銀は設備・人材投資ETFの年3000億円の枠で購入する見通し
Photographer: Noriko Hayashi

世界最大の年金基金に続き、日本銀行も女性が活躍する企業への選別投資を開始する。同行が上場投資信託(ETF)購入の対象指数に4月に追加したMSCI日本株女性活躍指数(セレクト)に連動するETFが15日、東京証券取引所に上場するためで、環境・社会・ガバナンス(ESG)改善に取り組む企業に投資資金が向かう流れを後押しする可能性がある。

  上場するのは「NEXT FUNDS MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)連動型上場投信」で、野村アセットマネジメントが運用する。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は昨年7月、ESG投資に1兆円投じる日本株のパッシブ運用開始を発表。連動する指数にMSCI日本株女性活躍指数(WIN)を含めた。WINに対して追加的な銘柄選定基準を設けたのがセレクトで、日銀が年間投資枠3000億円で買い入れる設備・人材投資支援ETFの適格指数に加わった。

入社式に臨む女性社員

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  野村アセットマネジメントの奥山修ETFグループ・リーダーは、海外では女性登用度が高い企業ほど株主資本利益率(ROE)が高く、高ROE企業の株価は中長期で高パフォーマンス傾向という分析結果を挙げ、「日本でも今後女性の登用が進むとそうした企業のROEが高くなる可能性があり、そうでない企業との差が出てくるだろう。さらにESGに着目した投資資金が増えることで、投資の有効性は高まる」とみている。

  女性活躍指数への投資は、現時点では盛り上がりを欠いているのが実情だ。WINに連動するETFは、大和証券投資信託委託の「ダイワ上場投信ーMSCI日本株女性活躍指数(WIN)」が昨年9月に上場したが、今年4月末時点の純資産総額は約10億円。過去の値動きもTOPIXとほぼ同じと特徴を欠き、女性の活躍検証はそもそも難しいとして、リターン重視の投資家は否定的に捉えるという見方もある。

  これについてMSCIの内誠一郎マネジング・ディレクターは、気候変動を背景に海外年金がローカーボン投資を積極化していることを例に挙げ、「将来のシナリオに向かって世の中がどう変わっていくかを見極め、今のうちにポートフォリオを強くしておこうという流れがある。そうした投資の成果は過去データでは分からない」と指摘、ESG投資の浸透に期待を示した。

日銀外観

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  日銀が設備・人材投資に積極的に取り組む企業のETF購入を始めたのは16年4月。しかし、買い入れ対象の6本は市場規模が広がらず、合計時価総額は今月2日時点で約1700億円と、日銀の年間投資枠の3000億円にはるかに及ばない。しかも日銀はこれらETF購入は「原則として時価総額の2分の1の範囲内で行う」とのルールを定めているため、購入資金はやむなくJPX日経400連動のETFに向かっているとの見方が市場では大勢だ。

  こうした中で日銀が女性活躍指数に連動するETFを購入する意味合いについて、SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは直接的なインパクトは小さいと試算しながら、「日銀がESG投資に取り組むというアナウンスメント効果は大きく、広がり始めているESG運用に追い風となるだろう」と予想した。

  WINに流動性や信用力、設備投資の積極性といった銘柄選定基準を加えたセレクト指数の主な構成銘柄はKDDI、アステラス製薬、三菱UFJフィナンシャル・グループ、東京海上ホールディングス、リクルートホールディングスなどで、WINとほぼ同じ。

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