Photographer: Brendan Smialowski

米国債に断固たるビッグショート-逆張り指標か、利回り上昇示唆か

  • 2017年の例では投機筋の記録的ショートは相場上昇につながった
  • 米利上げと財政赤字拡大に伴う国債大量発行で環境激変との見方も
Photographer: Brendan Smialowski

ヘッジファンドは、世界最大の債券市場である米国債市場の中でも特に逃げ足が速いことで知られるが、高止まりした利回りが過去3週間にレンジ入りしても、過去最大規模のショート(売り持ち)を後退させる兆しが全くない。この断固とした姿勢は、利回り上昇圧力がしばらくやまないことを示唆する。

  この一方向のスタンスに、債券強気派は興奮せざるを得ない。2017年前半に米10年債先物で当時として過去最高のショートを投機筋が構築した際、指標利回りが5週間で50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近く低下し、劇的なショートカバーが起きたからだ。つまり、ヘッジファンドなど投機筋のポジションは逆張り指標になり得るということだ。彼らが債券下落を見込むと、相場は逆に上がる場合が多い。
 
  ただし、今回はこれまでのところ、そうした展開にはなっていない。拡大し続ける米財政赤字や国債発行、そして米利上げがいかに影響しているかを示しており、この組み合わせをダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高投資責任者(CIO)は「かなり危険なカクテル」と表現したほどだ。

  ガンドラック氏はウェブキャストで、「米国債市場でこれだけの投機ショートがあるのに相場が上昇できないとは非常に驚きだ。大概は上昇するものなのに、横ばいだ。強気派の裏付け材料にそれほどなっていない」と述べた。

  BMOキャピタル・マーケッツやシティグループのストラテジストのように利回り低下を予想する強気派は、何らかの要因一つで相場上昇への火は付くとみる。しかし、投機家は揺らがない。米10年債先物のショートは今月1日終了週に、前週に付けた過去最高をやや下回る程度。超長期債の先物でも1年ぶりにネットショートとなった。5年債でも過去最高のショートだった。

  ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの米州債券戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルベス氏は米金融当局が利上げを「ためらわないという確信が増しているほか、大量の国債発行が待っているとなれば、ショートにしている方が気分が良い」と話した。同社は10年債利回りが年末までに3.25%に上昇すると予想している。

  BMOは10年債利回りが2.4%に、シティは短期的に2.7%前後までそれぞれ低下すると予想。シティの米金利ストラテジスト、ジェイソン・ウィリアムズ氏は一部投機家にショートカバーを促すには利回りが9日に付けた3.03%から約15bp低下する必要があるとみている。BMOのイアン・リンジェン、アーロン・コーリ両氏は、10年債と30年債の利回りが2018年に入ってからのレンジを抜ければ投機筋はショートをやめるとみている。

  いずれにせよ、確かなことは、ここ数週続く3%前後のレンジから抜ける次なる動きが極めて重要になりそうだということだ。

原題:That Big Hedge-Fund Short Squeeze in Treasuries Is No Sure Thing(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE