Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

トヨタの決算は異例の場中開示、市場との対話探る

  • 市場関係者は為替や利益見通しを注視、株価の乱高下への懸念も
  • 豊田社長は中長期的な方針説明に専念、長期株主の確保を目指す
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

トヨタ自動車は9日、株式市場の取引時間中に前期(2018年3月期)決算を開示する。決算説明会は2部構成とし、豊田章男社長の会社方針の説明に十分な時間も設けた。電動化など自動車業界が変革期に入り、足元では円高が業績を圧迫するなか長期株主確保の観点から市場との対話を模索している。

  トヨタは9日午後1時25分に決算を開示する。都内で開催する説明会ではまず小林耕士副社長らが決算内容について説明、同2時半からの2部で豊田社長が競争力強化の取り組みなどについて説明したあと、質問に答える。説明会はトヨタのウェブサイト上でリアルタイムで配信され、従来は決算発表後に電話会議で対応していた一部の機関投資家やアナリストも出席する。

  トヨタ広報担当の喜多亜貴子氏によると、これまで決算開示と説明会は東京証券取引所での取引が終了する午後3時以降に行われ、取引時間中の開示は初めて。トヨタの競争力強化への取り組みを社外に伝える取り組みの一環として、2月の決算説明会で生産現場を統括する河合満副社長がトヨタのものづくりについて語る時間を設けたが、結果的に質疑応答の時間を十分に取れなかった反省に立ち、今回は説明会の開始時間を早めた結果、取引時間中の開示になったという。

  三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、取引時間中の発表に関して「数字によるところがあるが、日中は振れがでてくる可能性がある」と指摘。予想を下回る内容でいったん株価が下がったとしても、投資家が詳細を把握することで買いが入り、株価が落ち着きを取り戻すようなケースもあると述べた。

  電動化や自動運転などの普及に向けた動きが急ピッチで進み、自動車業界が「100年に1度の大変革期」にあると言われる中、トヨタは短期ではなく中長期的な視点で会社を支える投資家を増やす試みに取り組んでいる。米国でも昨年9月に投資家向けイベントを開催、豊田社長自ら登壇して電動化や自動運転などのビジョンを示した。

1-3月は前年割れか

  トヨタ株を保有するさわかみ投信の草刈貴弘取締役最高投資責任者は、最近のトヨタは「投資家を気にするようになってきている」と話す。従来は堅実であるがゆえに保守的で電動化などでも遅れているとみなされ、市場からは過小評価されがちだったが、「IRが充実し始めている気がする」という。今回の決算説明会では豊田社長から「会社がどの方向に向かっているのか聞きたい」と話した。

  トヨタは前期の営業利益について、前の期比10%増の2兆2000億円を見込んでいる。純利益は同31%増の2兆4000億円、売上高は5.1%増の29兆円でブルームバーグ調査による市場予想平均値はほぼ同水準となっている。1-3月の市場予想値は4四半期ぶりの前年割れを見込んでいる。

  市川氏は先に今期の決算見通しを発表したホンダは今期の想定為替レートを1ドル=105円に設定したため利益見通しは慎重だったとし、トヨタも為替や利益の想定が予想より控えめということになれば、「ある程度マーケットに影響が出るのではないか」と述べた。

  野村証券の桾本将隆アナリストは、「市場規模が大きい米国でどれくらい収益力が維持できているのかが一つの注目点」と指摘。米国市場の競争が激化しているなかでもトヨタは販売奨励金を抑えて一定の利益を確保しているようにみえるとし、減益になったとしても為替影響を除けば実質的には増益と予想している。

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