物言う株主の丸木氏、図書印など3社に株主提案-持合い株3年内売却

村上ファンド出身の「物言う株主」丸木強氏が率いるストラテジックキャピタルは、2012年の設立以来、年間リターンは常にプラスを維持。経営陣との対話などを通じて企業価値向上を目指してきた。今年度は企業統治の指針コーポレートガバナンス・コードが6月までに改訂されるのを受け、投資先3社に対し政策保有株を3年以内に売却するよう提案している。

丸木勉氏

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  この3社は図書印刷蝶理、新日本空調で、今回で3回目の株主提案となる。丸木代表取締役は、同コード改訂で「政策保有株の売却が言いやすくなった」と指摘。政策保有株について「取引の円滑化とか拡大維持のためと言うが、一部株主への利益供与ではないか」と批判、経営者の地位を守り、企業の競争力減衰の一因と強調する。株主から預かった資本を有効活用せず、「他社の株を持つ余裕があるのなら自社株買いなどをしてほしい」と話す。

  同コードは安倍政権の上場企業に関する成長戦略の一環として、15年に導入された。従来は政策保有株の保有方針を示すよう求めていたが、今回の改訂では一歩踏み込み、「縮減に関する方針・考え方」を示すよう迫る。さらに保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか精査したうえで開示すべきだとしている。独立した指名・報酬委員会の活用も挙げられている。
    
  野村資本市場研究所の西山賢吾主任研究員は、「持ち合い比率を急速に押し下げるにはなかなか難しく、一定の企業は必要性を主張してくる」と予想。物言う株主(アクティビスト)の主張の中には合理的な部分もあり「マーケットや企業を活性化していく要因につながる」と評価するが、他の株主に伝わっておらず、「それ相応の労力が必要」とみている。

  蝶理の担当者は提案を受け「会社法に従った対応を検討中」、新日本空調の担当者は「5月に開催予定の取締役会において対応を審議、決定する」とコメントした。図書印刷担当者は「社内で内容を検討したうえで適切に対応する」と回答した。

進まぬ事業法人の持ち合い解消

出所:野村資本市場研究所

新しいアプローチ

  図書印刷(ブルームバーグのデータでは持ち株比率7.3%)は16年に提案を一部聞き入れ、保有するリクルート株を半分売却し、事業構造転換に100億円、事業領域拡大に200億円の投資を計画。しかし、ストラテジックは例年以上の構造転換投資が実施されていないなどとして、リクルート株売却資金を全額配当に回したり、親会社の凸版印刷の意向に左右されないよう指名・報酬委員会の設置などを2日、提案した。

  そのほか、蝶理(同3.98%)には政策保有株売却に加え、目標の株主資本利益率(ROE)を達成できたときのみ取締役に報酬を支払うことや、剰余金処分は取締役会ではなく株主総会の決議事項にすることを提案。新日本空調(同4.8%)には、配当と自社株買いを合わせた総還元性向100%以上を要望している。

  企業の理解を得るため、同氏は今年から「新たなアプローチ」も始め、「株主提案前から話をして土壌を温めている」という。さらに蝶理と新日本空調に対しては、面談の際に「株主提案するかもしれないが、その後も対話を続けさせてほしい」と要望しており、提案から株主総会までの8週間で会社側から良い提案が出てくることを期待。「80点でもいいので、出てくれば提案を取り下げても良いかもしれない」という。

  丸木氏は野村証券出身で、1999年に旧通産省OBの村上世彰氏率いる村上ファンドの設立・運営に参画。第1四半期(1-3月)のTOPIXが5.6%のマイナスとなる中、同氏の率いるストラテジックキャピタルの運用成績はプラス0.2%を確保した。

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