Photographer: Chip Somodevilla/Getty Images North America

利上げと規制緩和進める米金融当局、ちぐはぐな印象否めず

  • FRBとOCCは先にレバレッジ比率規制の緩和を提案
  • 米経済の軟着陸目指す当局の取り組み、複雑化か
Photographer: Chip Somodevilla/Getty Images North America

金融引き締めと規制緩和という米金融当局が同時に進める動きは、ちぐはぐな印象を与えるものだ。

  米連邦準備制度理事会(FRB)と通貨監督庁(OCC)は11日、ウォール街の大手銀行を対象に金融危機後に導入されたレバレッジ比率規制について、緩和に向けた提案を発表した。銀行は緩和によって自由になった多額の資金を貸し出しなどに活用できるようになり、景気拡大ペースのさらなる加速につながる可能性がある。

  その一方で金融当局は、バランスシートの段階的な縮小を進めると同時に、緩やかな利上げによって信用創造を抑制し、景気過熱を防ぐよう努めている。

  ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は、銀行規則の緩和には「ちょうど良いタイミングとは言えない」と指摘した。

  相反するとも受け止められる政策は、米金融当局の取り組みを複雑なものにする。既に減税や政府支出の増加の追い風を受けた経済のソフトランディング(軟着陸)に向け、金融当局は向こう数年間にわたり利上げを続ける方針だからだ。

  ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏はレバレッジ比率規制の緩和に関し、「財政政策と同様に、景気循環を増幅させる方向に規制政策を作用させるリスクがある」と分析。ただ、財政政策の景気刺激効果の方が規制緩和よりもはるかに大きいと付け加えた。

  FRBで金融規制担当の副議長を務めるクオールズ理事は、当局の規制政策と金融政策は「相互に支え合うものだ」と指摘。一段と効率的な金融システムは金利変更を通じて経済に影響を及ぼす当局の能力を高める一方で、金融政策の正常化は中小銀行が融資を通じて利益を拡大するのを可能にするとの考えを示した。

  これに対し同僚の当局者の一部からは、株価など資産価格に沸き立つような兆候が見られる中で、当局の規制政策が適切なのかどうかあまり確信がないとして疑問の声も上がっている。

  ブレイナードFRB理事はワシントンでの19日の講演で、「規制の効率性を高め、もっと適合的なものとする方法を注意深く検討する必要がある一方で、景気循環をうっかり増幅させて、ある面で幾分行き過ぎとなっている金融状況を悪化させることのないよう、大いに配慮しなければならない」と語った。

  レバレッジ比率規制の緩和計画を巡っては、民主党系のブレイナード理事が反対に回った一方、共に共和党系のパウエルFRB議長とクオールズ理事は賛成票を投じた。

原題:Fed at Odds With Itself as It Eases Bank Rules and Raises Rates(抜粋)

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