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ヘッジコスト上昇から逃げる生保、「社債・欧州」派と「オープン」派

  • 明治安田、住友、かんぽ生命はヘッジ付き海外社債や欧州債へ
  • 日本生命はオープン外債に4000億円前後を投入-18年度計画

主要な生命保険会社の2018年度の運用計画が26日、出そろった。ドルに対する為替差損の回避(ヘッジ)コストの上昇という共通の課題に対し、明治安田生命保険やかんぽ生命保険は日本生命保険と異なる道を歩もうとしている。

  「主に米国のRMBS(住宅ローン担保証券)を買い入れ、メガバンクが海外で発行したTLAC(総損失吸収力)適格社債にも投資した」-。明治安田生命の山下敏彦執行役副社長は24日の記者説明会で、外国債券を昨年度に6900億円積み増したうち6100億円はヘッジ付きだったと説明。今年度はドル建ての公募社債への投資も始め、信用リスクを取って高い利回りを得るクレジット投融資をさらに拡大すると訴えた。

  かんぽ生命は今年度の新規資金3兆円弱の半分弱をヘッジ外債に振り向けて残高を増やす。淺井重明運用企画部長らは25日の記者説明会で、対ドルのヘッジコスト上昇で「米国債だと期待リターンがほぼなくなってしまう」と指摘。より利回りが高いクレジット物に投資するほか、日本からユーロ圏に投資すると上乗せ金利を受け取ってヘッジを掛けられるので、欧州の周辺国を中心に対象を選んでいくと述べた。

  住友生命保険は外債の残高を昨年度に1兆3800億円増やしたうち、約8割がヘッジ付きで、通貨別ではユーロ建てが6割を占めた。松本厳上席執行役員兼運用企画部長は、ヘッジ外債はコストを考慮して「欧州債にシフトしている。ドル建てはほとんどが社債だった」と説明。今年度もユーロ建てなどへの分散を図るとともに「ドル建てでは社債でスプレッドを取っていく」と話した。

米国債は儲からない

  為替ヘッジのコストは国内外の短期金利差と、通貨間の需給格差で決まる。ブルームバーグのデータによると、3カ月物の日米金利差は2.4%程度と、1年前の2倍超に拡大。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを続ければ、今後さらに広がる見通しだ。円をドルに交換するためのベーシススワップも0.12%前後かかる。

  このため、米10年物国債利回りは足元で約3%と日米欧では突出して高いが、為替ヘッジコストを差し引くと0.45%程度しか残らない。日本銀行の異次元緩和を背景に金利の低迷が続く国内債券の代わりなのに、0.5%台半ばの20年物国債利回りよりも低い。一方、フランス国債の10年物は約0.85%だが、ヘッジを付けると1.11%程度になる。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは生保の運用について、ひと頃のヘッジ外債頼みのような「一本足打法」は通用しにくくなっていると指摘。今年度はドルのヘッジコストの上昇を背景に、海外のクレジット物やオープン外債を増やす流れになるとみている。

オープン重視の日生

  これに対し、日本生命は為替ヘッジしないオープン外債を昨年度に5100億円積み増し、今年度も1兆円強と見込む新規資金のうち4000億円前後を投じる。秋山直紀財務企画部長はヘッジ外債はドルのヘッジコストがさらに上がるとみて、米国債から社債やユーロ圏への入れ替えを進め、「横ばいから減少」になると説明した。

  第一生命保険の重本和之運用企画部長はヘッジ外債を積み増す可能性は極めて低く、オープン外債は「ちょっとした押し目(円高局面)で積み増していきたい」と述べた。主要5社以外では、三井生命保険がオープン外債を今年度2400億円以上、富国生命保険は約2200億円積み増す計画だ。

  財務省の統計では、生保による海外中長期債の買越額は昨年度に3兆4255億円。データでさかのぼれる05年以降で最大だった16年度から55.7%も減った。国内勢全体では2月まで5カ月連続で米国債を売り越し、欧州債を買い越した。新年度入り後3週間の海外中長期債の買越額は合計1兆1553億円。前年同期は4兆2544億円の売り越しだった。

  大同生命保険は昨年度、海外の社債を1200億円、国債を800億円積み増した。今年度もヘッジ付きとオープンを合わせて外債の残高を増やす。沖田芳弘執行役員運用企画部長は23日のインタビューで「ヘッジ付きでは米国債はもう難しいので、社債と欧州債で取っていく。米国債はオープンで買っていく」と話した。

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