信用揺らぐ財務省、相次ぐ不祥事で解体論が再浮上

更新日時
  • 省庁再編など「象徴的な改革シグナルが必要」-土居慶応大教授
  • 消費増税に黄信号、「不人気政策の主張困難に」-東海東京・武藤氏

麻生太郎財務相

Photographer: Takaaki Iwabu/Bloomberg
Photographer: Takaaki Iwabu/Bloomberg

霞が関の最強官庁、財務省の信用が揺らいでいる。学校法人「森友学園」を巡る決裁文書改ざん問題や事務次官のセクハラ発言疑惑を受けた辞任など相次ぐ不祥事で、与野党から同省の解体論が再浮上。来年10月に予定されている消費増税をはじめ財政健全化に影響する可能性も指摘されている。

  「税の部分だけを切り離して税管理庁をつくり、内閣府に置くというのはいかがか」。自民党の青山繁晴参院議員は3月19日の参院予算委員会で「財務省解体論」を提唱した。森友問題を受け、「財務省が旧来のままだというのでは主権者がとても納得されない」との理由だ。

  同様の声は野党からも聞こえてくる。民進党の大塚耕平代表は19日の会見で、福田淳一前財務事務次官の辞任表明を受け、「財務省の信頼は地に落ちた状態。解体を本当に議論しなければいけない状況になりつつある」と語った。金融部門を切り離す「大蔵省解体」につながった1998年の接待汚職事件から20年。名称も変わった財務省は再び危機に直面している。

  慶応大学の土居丈朗教授は23日、ブルームバーグの取材に対し、安倍晋三政権以降「財務省の影響力が低下し続ける状況の中で、とどめを刺された」と語った。信頼回復に向けて、公文書改ざん防止やセクハラ根絶など地道な取り組みとともに、「思いを改めたと国民にきちんと分かるように見せないと信用は回復しない」と強調。初の女性事務次官の起用や省庁再編など「象徴的な改革シグナルが必要だ」という。

  26日付日本経済新聞によると、自民党の行政改革推進本部は、5月の大型連休明け以降に中央省庁の再々編構想の本格的な議論に入る見通し。2001年に行われた省庁再編を検証し、相次ぐ不祥事を踏まえて課題を洗い出すとともに、年内に新たな省庁の在り方を首相に提言することを目指しているという。

ばらまき色強まる

  財務省を巡っては、決裁文書改ざん当時に理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が3月に辞任。福田前財務次官の辞任も24日の閣議で承認され、事務方の司令塔2人が不在となる事態に陥っている。野党からは麻生太郎財務相の引責辞任を求める声が高まり、国会審議も欠席。週末に読売、毎日両紙が行った世論調査でも辞任を求める声が半数を占めた。

  国民に負担を求める政策を進めてきた財務省にとって一連の不祥事は致命的だ。東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは25日の電話取材で、同省が「不人気な政策を敢然と主張するのが難しくなっている」と述べ、消費増税に黄信号がともったとみる。自民党総裁選を9月に控え、安倍内閣の支持率は低下を続けており、ばらまき色が強くなる可能性も指摘する。

  一方で、財務省の財政制度等審議会委員も務める慶応大の土居教授は、短期的に財政は拡張的な方向に行くとしながらも、財政再建に向けた大きな流れは変わらないと分析。安倍首相が財政健全化に真剣に取り組まなければ「総裁選で財政再建を訴える候補者が立つ余地を与えてしまい、逆に自らの3選が危うくなりかねない」との見方を示した。

  福田前財務次官は辞任を表明した18日の会見で、「誠に不徳の致すところ」としながらも、「財政は財政当局のものではなく国民のもの」と強調。予算や税の管理人である財務省の不祥事は許されないが、「それをきっかけに考え方を変えるのは国民にとって良くない」と述べ、同省の財政再建策に理解を求めた。

(5段落目に自民党の行政改革推進本部の動きを更新しました.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE