パウエルFRB議長の危険な賭け、インフレなき高成長持続は可能か

  • 金融危機後の低インフレに悩まされた米金融当局、利上げ加速に慎重
  • ハト派、タカ派ともインフレ高進の可能性にリラックスの様相

パウエルFRB議長

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

米金融当局者の発言を聞いている限り、経済に害を及ぼすインフレ高進を招かずに、米景気の拡大ペースを高めに保つことができると自信を深めているように見受けられる。低失業率の下で財政刺激策が成長を一段と後押しし、物価圧力が増しつつある現状を踏まえれば、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長にとってこうしたスタンスは危険な賭けと言えそうだ。

  インフレ見通しの改善も一因となり、米10年債利回りは24日の取引で一時、4年ぶりに3%を突破した。だが、金融当局は5月1、2両日開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決めるとともに、年内にあと2回か3回の利上げを織り込んだ緩やかな引き締めの道筋を不変とするシグナルを発する見通しだ。

  利上げ加速を巡る当局のこうした慎重姿勢は、金融危機後に思うようにインフレ押し上げを果たせない状況が何年も続いたことが背景にあるが、過去の景気循環で後れを取るまいとして当局が講じてきた予防的な戦略とは一線を画する。

  シカゴ連銀のエバンス総裁は20日の講演で、「1970年代の狂乱物価の記憶を失いそうになって、経済学博士号を取り消されるリスクはないかと感じる時もある」とした上で、現時点では「新たに発表されるデータをもっと辛抱強く解読して対処する機会がある」と語った。

  インフレ高進の可能性にリラックスしているように受け止められるのは、エバンス総裁のようなハト派だけではない。よりタカ派寄りのメスター・クリーブランド連銀総裁は先週、インフレ急上昇は予想していないとし、このことは金利について「急傾斜の道筋を取るべきでないことを意味する」と話した。

  また、6月にニューヨーク連銀の次期総裁に就任するサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は、自分にとっても他の人々の目にもインフレ圧力の高まりを示す兆候は一切見当たらないとコメントした。

  元FRB理事で、現在はコンサルタント会社マネタリー・ポリシー・アナリティクスを率いるローレンス・マイヤー氏は、金融当局者は「リスクを取っているか、もしくはタイミングの悪い財政刺激策のためにリスクを負わされている」と解説。「彼らはオーバーシュートを防ぐことはできず、このためリセッション(景気後退)を引き起こすことなくそれを封じ込めることができるかが問題だ」との分析を示した。

Letting It Run

Fed expects core inflation gauge will rise to a 2.1% increase next year, exceeding target

Source: Federal Reserve Board, Summary of Economic Projections

Note: Core PCE inflation projections are percent changes from the fourth quarter of the previous year to the fourth quarter of the year indicated. *Target rate for headline PCE

原題:Powell’s Policy Gambit Bets Job Market Stays Hot, Inflation Not(抜粋)

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