米ダルトンが新生銀の役員報酬制度に異議、委任状争奪戦へ-株主総会

  • 積極的な株式報酬の提供を求める-ダルトン側提案
  • 新生銀が示した株式上限2000万円は「不十分」-ローゼンワルド氏

米ヘッジファンドのダルトン・インベストメンツは、新生銀行が6月に開催予定の定時株主総会で提案する新たな役員報酬制度を不服として、対抗する株主提案で委任状争奪戦も辞さない構えを見せている。

  新生銀は23日、譲渡制限付き株式報酬制度を導入すると発表。取締役報酬枠計1億8000万円(年額)のうち2000万円を上限に制限付き株式で支給することを6月20日の総会で提案するとした。これに対し、ブルームバーグが入手したダルトン側の提案書コピーによると、報酬として与える株式の上限を2億円とするよう求めている。ダルトンは新生銀の発表以前の16日付で提案していた。同社の新生銀株保有比率は5%。

  譲渡制限付き株式報酬制度は、役員報酬の一部を一定期間譲渡できない株式で支払うことなどにより、固定の現金給付に比べて経営者がより中長期的な企業価値向上に向け努力することを狙った制度。一般的に報酬に占める自社株比率が高いほど経営陣が企業価値向上に真摯に取り組もうとするインセンティブは高まるとされ、政府も「攻めの経営」を促すと推奨している。

  ダルトン共同創業者のジェイミー・ローゼンワルド氏は25日までのブルームバーグの取材に、新生銀がこのタイミングで新たな報酬制度を公表したのは「偶然ではない」と話した上で、新生銀の示した2000万円の上限では「不十分だ」との認識を明らかにした。株主提案を取り下げるつもりはないという。

  また、ダルトンは新生銀の当期利益の90%程度を自社株買いに当てるべきだとも主張しており、株主提案の草案段階では、剰余金の配当について取締役会でなく株主総会で決められるよう定款を変更する項目を準備していた。最終的にこの提案をやめた理由について、ダルトン側は経営健全化計画での取り組みなどを評価したからだと述べた。過去には新生銀に対し「相当規模の余剰資本がある」として2000億円規模の自社株買いを促す書簡を送っている。

一人旅

新生銀の配当性向はライバルに大きく見劣りがする

Source: TSE, Bloomberg

Note: Data is for last fiscal year.

  ダルトンが評価する点として、同行が3月に金融庁に提出した経営健全化計画で配当について「国内銀行の一般的な総還元性向の範囲内で維持・向上を目指す」としたことを挙げる。新生銀の直近の配当性向は5.1%と上場銀行グループ平均(23%)を大きく下回る。同行は1990年代後半からの金融危機時に注入された公的資金を唯一完済しておらず、返済のための内部留保の確保が配当水準引き上げのブレーキとなってきた。

  一方で、株主総会で役員報酬制度に関する提案を取り下げない理由として、ローゼンワルド氏は人々を喜ばせる「サンタクロースのような評価を日本で得たいからだ」と述べた。その上で「経営陣への報酬が増えれば、株主との利害の一致も早い。サラリーマン経営者が多い日本の企業社会の特異性についても議論できる」とコメントした。

  新生銀広報担当の江口静代氏は、ダルトンからの提案を受け取ったことを認めた上で、同行が23日に発表した新たな役員報酬制度については「かねてより取締役会で議論を重ねてきた案件であり、本議案を株主総会に上程できる準備が整ったため決議したということだ」と説明した。

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