Photographer: Evan Ortiz/Bloomberg

「デザート軽視」時代は終わり-NY有名店で新メニュー

  • 飲食業界は経営面のプレッシャーでデザートメニューを縮小傾向
  • アイスクリームサンデーばかりとの批評記事に共感の声
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グルメ関連のメディアではこのごろ、デザートについてあまり取り上げられないが、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)のレストラン評論家、ピート・ウェルズ氏は最近、どこへ行ってもデザートと言えばアイスクリーム・サンデーばかりであることを嘆く記事を書いた。

  ウェルズ氏の記事はシェフや評論家、そして食事客から一様に共感を呼んだ。ニューヨークのレストラン「エンペロン」の共同オーナーでパテシエとして10年間の経験もある私にとっては、この記事はサンデーについてというよりも、深く考えずありふれたデザートを提供するレストランへの挑戦だと解釈した。

エンペロンの共同オーナーで筋金入りのパテシエ、アレックス・スタパック氏

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  レストランの店主は経営上、デザートメニューを捨てる大きな圧力にさらされている。人件費はデザートの売り上げを上回ることが一般的で、賃料や最低賃金、医療保険コストの上昇に伴い、デザートメニューは経費節減の最も簡単な対象になりがちだ。

  「ジョゼフ・レナード」や「フェアファックス」、「サイモン&ザ・ホエール」といったレストランを手掛けるガブリエル・ストゥルマン氏は、「客の大部分はデザートに12ドル(約1300円)以上払おうとはしないし、3、4人でデザートをシェアすることも珍しくはない。それは食前酒や前菜ではめったにないことだ。食事の料金と時間の大部分はおいしい料理に費やされる」と話す。

  また、健康や食事に関する不安もスイーツのメニューには不利で、炭水化物を避ける人が多く、砂糖を怖がる人もいる。

  しかし、メディアの報道はこれらの問題にめったに触れない。(私の元ボスで)「アリニア」のシェフ兼共同オーナー、グラント・アケッツ氏は、経済面で飲食業界に制約がかかっていると話す。同氏の店でパテシエをもはや雇用していないという。

エンペロン・ミッドタウンのアボカド・パフェ

York: the avocado parfait at Empellón Midtown. Photographer: Evan Ortiz/Bloomberg

  私もエンペロンの最初の2店舗でペイストリーのプログラムを始めたが、経済的理由で打ち切った経緯がある。しかし私の最新のレストランである「エンペロン・ミッドタウン」では、再び挑戦することを決意した。才能あるパテシエ、ジャスティン・ビニー氏を採用し、私たちは人々に気づいてもらえるデザートメニューを作るために奮闘した。万が一に備え、キッチンの隅にアイスクリーム用冷凍庫も設置した。デザート・プログラムを再び中止せざる得なくなる場合には、コックがアイスクリームの注文を受けられるようにするためだ。

エンペロンの最新デザート「メレンゲ・ボックス仕立てのテキーラ樽フレーバー・アイスクリーム キャラメルソース添え」

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  ウェルズ氏はNYT紙でエンペロン・ミッドタウンを三つ星と評価した際、一口サイズの7つのフルーツを乗せたデザートを4分間ぐらいかけて味わい、野菜や肉からスタートしたテーマを広げる優秀なパテシエの力量への信頼を完全に取り戻したと論評した。同氏の評価を受けてデザートの売り上げは4倍に急増した。そして、万が一に備えて設置したアイスクリーム冷凍庫は一度も使用されていない。

原題:Empellon Chef Makes a Case for Ending ’Dessert Discrimination’ (抜粋)

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