カシミヤ製品の価格の謎、2000ドルの高級品もあれば30ドルの格安品も

  • 価格を左右するのは糸の品質や産地、各社の仕入れ枚数など
  • カシミヤ5%の「カシミヤ混合」製品や偽物が販売される場合も

Cashmere pullovers on the move at a Loro Piana store in Milan.

Photographer: Alessia Pierdomenico

シンプルだが細心の注意を払って作られた最高級カシミヤのセーターは、ロロ・ピアーナなどの一流ファッションブランドでは2000ドル(約21万6000円)以上するが、ユニクロの値引きコーナーでカシミヤ100%のセーターをわずか29ドル90セントで手に入れることもできる。

  ヤギの一種の被毛から作られるカシミヤは、かつては富裕層の流行に敏感な人々のためだけのものだった。ところがここ20年間にカシミヤ人気は急上昇し、より安価な衣料品が市場に出回っている。

  国連の貿易データによると、2016年のカシミヤ衣料品の輸出額は世界全体でほぼ14億ドルと、10年の12億ドルから増加。今では至る所でさまざまな価格で売られているようだが、特に歴史的に高級品として販売されてきたカシミヤにとって、普及する中でありふれたものになってしまったのは問題かもしれない。

染色されたカシミヤ糸の紡績作業、イタリアのロッカピエトラにあるロロ・ピアーナの工場で

Photographer: Alessia Pierdomenico/Bloomberg

  セーターの優劣を決めるのは何だろう。価格を左右するのは糸の品質や産地、ブランド各社の仕入れ枚数、利幅などだ。

  素材の品質はしばしば最重要となる。カシミヤの繊維が長いほどより長期間にわたって風合いが維持され、形崩れしにくい。一方、繊維の短いより糸を使ったカシミヤ製品は摩擦による毛玉ができやすくなる。最近では品質とコストのバランスを取るため、メーカーは長さの異なる繊維を混ぜ合わせて使う場合が多い。

  丈夫さを決めるのは生地に使われるより糸の太さだ。単糸は最も弱く、お気に入りのセーターにすぐに穴が開いてしまうかもしれない。より高品質のカシミヤ製品では2、3本をより合わせたものが一般的。個々のより糸が細く滑らかであればあるほど衣類はソフトになるが、そうした製品は貴重で値段も高めになる。

シンガポールのユニクロ店舗の棚に陳列されたカシミヤ衣料品

Photographer: Ore Huiying/Bloomberg

  カシミヤヤギはオーストラリアや中国、モンゴルなど世界中で飼育されているが、優れたカシミヤ製品の産地として有名なのはスコットランドとイタリアだ。ロロ・ピアーナやブルネロ・クチネリなどの高級ブランドは、繊維の洗浄・不純物の除去などを従業員の技能に頼っている。

  ただ、そのような手間をかける製造業者ばかりではない。今日大半の小売店で手に入るカシミヤ混合のセーターに含まれているカシミヤの配合割合はさまざまだ。カシミヤはわずか5%で残りはポリエステルやナイロンといった大衆向け繊維という場合でも「カシミヤ混合」製品として販売され、偽物が店頭に並ぶ場合さえある。

  低品質の混合製品や全くの偽物の登場、普遍化によってカシミヤのぜいたくさが薄れており、消費者は低品質の製品に徐々に慣れつつある。業界はカシミヤの由来などについて消費者を教育することでその評価を取り戻そうとしている。

原題:Why a Cashmere Sweater Can Cost $2,000 … or $30(抜粋)

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