武田薬:シャイアー買収の協議継続、12日の提案は拒否-株価続落

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  • 武田薬の株価は1年2カ月ぶりの安値まで下落
  • 国内主要行は計1兆円程度の資金調達に応じる方向で調整

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Photographer: Buddhika Weerasinghe/Bloomberg
Photographer: Buddhika Weerasinghe/Bloomberg

武田薬品工業は19日、バイオ医薬品メーカーのシャイアーに対し、現金と新株を組み合わせた総額約6兆4400億円の買収案を提示したと発表した。12日に示したこの提案はシャイアーの取締役会により拒否されたものの、現在も両社間では協議が継続しているという。

  武田薬はシャイアーに1株当たり46.5ポンド(約7000円)で買収を打診。これは、買収検討を発表する前日の3月27日時点のシャイアー株終値に51%上乗せした水準。このうち現金が17.75ポンド(38%)、新株が28.75ポンド(62%)だった。シャイアーは「当社の価値と成長見通し、新薬のパイプラインを著しく過小評価している」との判断で提案を拒否したものの、協議を続けることには前向きだと表明した。

  武田薬はクリストフ・ウェバー最高経営責任者(CEO)の下で買収意欲を高めており、特許切れや国内の人口減少に対応しようと海外展開に活路を求めている。シャイアーを買収することで消化器疾患や神経障害などの治療薬で新たな資産を獲得できるほか、治験の後期段階にある新薬も手に入る。

  武田薬が示した買収提案は新株部分だけで約4兆円と、同社の20日時点の時価総額3兆8597億円を上回る増資が必要になる。同日の武田薬の株価終値は、前日比4.7%安の4857円と1年2カ月ぶりの安値を付けた。

  同社の株式を保有するしんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は「足元は希薄化の影響がある」とし、「いままでの武田の買収がすべて成功しているわけではないので、財務リスクはある程度意識せざるを得ない」と話す。買収に成功した場合の収益への貢献やシナジー効果がどの程度になるのか、配当は維持されるのかといった点にも注目しているという。

資金調達は「試練」

  クレディ・スイス証券の酒井文義アナリストは今後の見通しについて、武田薬が買収を成功させる「チャンスはある」とみており、両社のトップが「合意点を見つけられるかにかかっている」と指摘した。しかし、資金調達については疑問が残るとの見方を示す。日本郵政の新規株式公開でも調達額は1兆3000億円だったことから、武田薬が公募増資で調達できるのは1兆円程度と予想。4兆円の調達は「大きな試練」だと話した。

  複数の関係者は12日、匿名を条件に、三井住友フィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャル・グループなど国内主要行が計1兆円程度の資金調達に応じる方向で調整していると語った。最終的な調達額は武田薬とシャイアーの交渉結果により変わる可能性もあるという。三井住友Fの広報担当者からコメントは得られなかった。MUFGの広報担当者は個別案件についてはコメントしないと述べた。

  競合他社参入の可能性も武田薬の買収成功を左右する要因になる。米製薬会社のアラガンは19日の武田薬の発表後にシャイアーの買収を検討していることを発表し、数時間後にはその考えを撤回した。酒井氏は、米製薬会社のファイザーアッヴィもシャイアー買収に関心を示す可能性があると指摘した。

シャイアーの株価上昇の可能性

  岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは20日の電話取材で、「シャイアーは買収額を引き上げたいのではないか」と分析。正式提案後にシャイアーが自社株買いを行うなどして株価を吊り上げる可能性もあり、その場合は買収額がさらに拡大する懸念もあるという。「武田薬は高配当利回り銘柄として注目されており、株価への影響が懸念される」とも述べた。

  企業買収に関する英国の規制に基づき、武田薬は引き続き25日までに正式案を提示するか、買収を断念するかを明らかにすることが求められている。また、同社は発表文で「提案を行う場合の条件については節度を守ることをあらためて約束する」とし、敵対的買収は目指さない考えを示唆した。

(7段落に国内銀行からの資金供給について情報を追加します.)
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