Photographer: Monica Schipper/Getty Images North America

AIやVR、今や化粧品販売にも必須か-資生堂や世界ブランド動かす

  • 資生堂やロレアル、テクノロジー新興企業を買収-LVHMも投資
  • オンライン販売が好まれる傾向が背景-販売員の直接助言が困難に

資生堂が2017年に販売した美容商品の売上高は約1兆円だったが、この大半は消費者が来店することで化粧品サンプルなどを試せる従来型店舗での売り上げだった。

  魚谷雅彦最高経営責任者(CEO)は、そこを問題視している。10代や20代の消費者は対面販売ではない、オンラインでの買い物を好む傾向があるためだ。そこで魚谷氏は人工知能(AI)や拡張現実(AR)などの技術の専門家獲得に向け、シリコンバレーなどテクノロジーの中心地で小規模のスタートアップ企業と提携、さらには買収に踏み切った。 

  同氏が目指すのは、買い物客がオンライン上でも店舗で化粧品を試すのと同様の経験ができ、さらにはスマートデバイスからのデータを活用して顧客1人1人に応じた化粧品を提供することだ。「特に若い世代は店舗に行かないことが多い」とインタビューで語った魚谷氏は、「この世代の購入の仕方や仲間と楽しさを分かち合う方法は、上の世代とはまったく違う」と述べた。

  世界で4400億ドル(約47兆円)規模の美容産業をテクノロジーが揺さぶっている。市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、16年のオンライン販売は業界全体の約6.9%にすぎなかったが、中国などでのオンライン販売急増に伴い、電子商取引の重要性が高まっている。13年のオンライン販売の割合は5%未満だった。
  
  魚谷氏によると、資生堂の中国でのビジネスで電子商取引は既に25%を占めており、3年後には約40%への増加を見込む。全世界でみると、同社のオンライン売上高は20年までに15%と、17年の8%から拡大する見通しという。フォレスター・リサーチによれば、中国の18年のオンライン販売は1兆ドルを超える公算が大きい。中国や世界各国における購買行動のこうした急激な変化が、同業の大手ブランドに対応を迫っている。

資生堂の魚谷雅彦CEO

写真家:アンソニー・クワン/ブルームバーグ

  フランスのロレアルは3月16日、消費者がVRを利用してさまざまなタイプの頬紅やアイシャドーを試すことができるソフトウエアを手掛けるカナダのモディフェイスを買収すると発表。LVHMモエヘネシー・ルイヴィトンは4月10日、香水や化粧品向けに技術やサービスを開発する新興企業を支援するプログラムを発表した。

  資生堂は1月11日、人工皮膚技術を専門とする米マサチューセッツ州のスタートアップ企業、オリボ・ラボラトリーズの研究・開発(R&D)チームやその他資産を買収したと発表。この人工皮膚の商品化はまだだが、化粧の下地などさまざまな利用が考えられるという。資生堂は昨年には、肌の色に合ったファンデーションをカスタマイズするソフトウエアを手掛けるカリフォルニア州の新興企業マッチコーや、顧客がスマホやパソコンを使って自分に合う製品を見つけるのを助けるAI技術を開発するギアランを買収している。

資生堂の人工皮膚技術

出典:資生堂アメリカ

 

マッチコーのカスタムブレンドファンデーション

ソース:ベアミネラル

  アナリストは、より多くの美容関連企業がテクノロジーの獲得を目指すと予想する。ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、デボラ・エイトケン氏(ロンドン在勤)は特にアジア地域で、化粧品や美容製品をオンラインで購入するようになった消費者の変化に対応する必要があると語った。
         
       
原題:Beauty Companies Put Money Into Technology M&A to Fuel Sales (1)(抜粋)

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