Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

アジアの機関投資家に日本株調査を提供ヘ:SBI

  • 香港とシンガポールで業務開始、5月にも-遠藤企業調査部長
  • アナリストなどの採用拡大へ-株式売買やIPO引受け業務を強化
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

国内最大のオンライン証券のSBI証券が、アジアのヘッジファンドなどに日本株調査リポートの提供を開始する。法人業務拡充の一環で、機関投資家向けの株式売買などにつなげていく。

  SBIホールディングスの中核事業であるSBI証は、早ければ5月にも、香港とシンガポールの機関投資家にサービスを始める。マネジングディレクターの遠藤功治企業調査部長(60)がブルームバーグの取材で明らかにした。

  SBIの顧客口座数は昨年、国内では大和証券グループ本社を抜き、野村ホールディングスに次ぐ2位となった。同社はこれまでは個人投資家向けビジネスに注力してきたが、今後はホールセール業務に照準を合わせ、機関投資家向けの株式売買や、新規株式公開(IPO)の引き受け業務を強化する。

  遠藤氏は、「個人向けネット証券では、マーケットシェアは40%くらいまできていて、伸びる余地は少ない」と述べ、「ホールセールの方に軸足を置かないといけない」と、今後の方針について語った。

  クレディ・スイス・グループで株式調査部門を率いていた遠藤氏がSBIに入社したのは2016年7月。1人からのスタートだったが、その後、自動車産業アナリストでもある同氏はホールセール業務を立ち上げるため6人のアナリストを採用、現在はアシスタントなどを含め12人体制だ。4月にはJPモルガン・チェース出身の和泉美治氏を電機セクター担当に起用した。

  このほか中小型株関連で2人程度、エコノミスト1人、その他アシスタントを「できるだけ早く」採用したい考えだ。エクイティ調査業務では、外資系証券会社はここ数年、体制を縮小したり採用を控えたりしている。

MiFID2

  遠藤部長は、1月に欧州連合(EU)で施行された第2次金融商品市場指令(MiFID2)を契機にアナリストリポートが有料化されたことなどを受けて、機関投資家が取引するブローカーを見直している中で、SBIにとっては新規参入のチャンスがあるとみている。

  SBIの機関投資家向けビジネスについて、遠藤氏は「われわれがゼロから入るのは大変」だが、在籍するアナリストは「皆20年、30年やっていて、顧客を知っている」ほか、「面白いIPO案件を持っていく」ことで「お付き合いしてくれる」など顧客獲得に自信を示した。同社のアナリストの平均年齢は56歳で、事業会社で働いた経験があるほか、英語も堪能だという。

ベテラン勢

  海外業務はアナリストが香港などに出向き、最近採用した現地の営業担当と機関投資家を回り投資アイデアを売り込む。また日本株のリポートを英語に翻訳しヘッジファンドなど投資家に提供していく計画だという。

  SBI証は現在、銀行、電機セクターの他、自動車、自動車部品、人口知能(AI)、化学・繊維、小売り・レジャー、通信・IT、バイオ・医薬など主要産業と、IPOの可能性が高い新興企業などをカバーしている。

  業界の競争環境が非常に厳しい中、付加価値を付けることがこれからの株式調査業務には肝要だと遠藤氏。アナリストには情報隔壁など法令順守の上、投資銀行業務などのプライマリー分野でも、成長企業IPOのバリュエ-ションなどで活躍することが求められているという。

  「ひょっとすると来年くらいからAIがレポートを書き、人間がするような仕事ではなくなる可能性は非常に高い」と、遠藤氏は指摘する。その上で「アナリストは今までと同じことをやっていたら尻すぼみだ、付加価値を生まないといけない」と語った。

英語記事:Japan’s Top Online Broker to Start Research for Asia Hedge Funds

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